【初心者向け】生前贈与とは？メリット・デメリットから注意点までわかりやすく解説

この記事の監修者

佐藤 秀樹

行政書士佐藤秀樹事務所 代表。
行政書士として30年以上の経験を持ち、法人設立、相続、建設業許可などの分野に精通。
お客様の未来を、「誠意」と「情熱」でサポートします。

「相続」という言葉を聞くと、なんとなく不安を感じる…という方もいるのではないでしょうか？

• 将来の相続トラブルが心配…
• 相続税を少しでも減らしたい…
• 誰にどの財産を渡すか、きちんと決めたい…

このようなお悩みをお持ちの方に、ぜひ知っていただきたいのが「生前贈与」という制度です。

この記事では、生前贈与の基本からメリット・デメリット、注意点まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。この記事を読めば、生前贈与があなたの相続対策の有力な選択肢になるかもしれません。

生前贈与とは？基本の「き」を解説

相続対策を考える上で、「生前贈与」という言葉を耳にする機会が増えたかもしれません。しかし、具体的にどのようなものなのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

この章では、生前贈与の基本を理解するために、まずは「贈与」とは何か？から解説し、生前贈与の定義、そして基本的な仕組みまでを、わかりやすく説明していきます。この基礎知識をしっかり押さえて、次のステップへ進みましょう。

贈与とは？

「贈与」とは、一言で表すと「自分の財産を、相手に無償で譲り渡すこと」です。 例えば、誕生日プレゼントを友人にあげる行為や、親が子にお小遣いを渡す行為も、贈与の一種と言えます。 贈与は、法律的には「贈与契約」という契約によって成立し、贈与をする側を「贈与者」、贈与を受ける側を「受贈者」と呼びます。贈与契約は口頭でも成立しますが、後々のトラブルを避けるため、特に高額な財産を贈与する場合は、書面で契約書を作成することが一般的です。

生前贈与とは？

「生前贈与」とは、その名の通り、「生きている間に」行う贈与のことを指します。 具体的には、親が子に、あるいは祖父母が孫に、といったように、財産を持つ人（贈与者）が、生きているうちに、その財産を特定の人（受贈者）に無償で譲り渡す行為です。

「相続」が亡くなった後に財産が引き継がれるのに対して、「生前贈与」は、贈与者の生前に財産を移転させる点が大きな違いです。

生前贈与の基本的な仕組み

生前贈与は、以下の3つの要素で構成されています。

1. 贈与者：財産を贈与する人。例えば、親、祖父母など。
2. 受贈者：財産を贈与される人。例えば、子、孫など。
3. 贈与財産：贈与の対象となる財産。現金、預貯金、不動産、株式など、価値のあるものであれば基本的に何でも贈与できます。

生前贈与は、贈与者の意思に基づいて行われます。贈与契約は、贈与者と受贈者の間で合意することで成立しますが、特に高額な財産を贈与する場合は、贈与契約書を作成し、贈与の事実を明確にしておくことが重要です。

また、贈与する財産の種類や金額によっては、贈与税という税金がかかる場合があるので注意が必要です。

生前贈与と相続は何が違うの？

生前贈与も相続も、どちらも財産を誰かに引き継ぐという点では共通していますが、その性質や手続きには大きな違いがあります。

この章では、生前贈与と相続の違いを明確にし、それぞれの特徴を理解することで、ご自身の状況に合わせた適切な財産承継の方法を選ぶための知識を深めていきましょう。

生前贈与と相続、どちらが良いかは、個々の状況によって異なります。 たとえば、次のようなパターンの場合は生前贈与を選ぶ場合が多いでしょう。

• 相続税対策をしたい場合：生前贈与を活用し、計画的に財産を移転することで、相続税を減らす効果が期待できます。
• 特定の相手に財産を渡したい場合：遺言書を作成する方法もありますが、生前贈与であれば、より確実にその意思を実現できます。
• 相続トラブルを避けたい場合：生前贈与によって、財産の移転先を明確にしておくことで、相続時の親族間のトラブルを未然に防ぐことができます。

このような違いを理解した上で、ご自身の状況に合った方法を検討することが大切です。

生前贈与のメリット

生前贈与は、相続と比較して、様々なメリットがあることをご存知でしょうか？この章では、生前贈与がもたらす5つの主なメリットについて、詳しく解説していきます。

これらのメリットを理解することで、生前贈与がご自身の状況において、有効な選択肢となるかどうかを判断する手助けになるでしょう。

相続税の節税効果を得られる

生前贈与の最も大きなメリットの一つとして、相続税の節税効果が挙げられます。 相続税は、亡くなった方の財産額に応じて課税されるため、財産が多いほど税額も高くなります。 そこで、生前に財産を贈与することで、相続時の財産を減らすことができ、結果として相続税の負担を軽減できる可能性があります。

例えば、年間110万円までの贈与であれば、贈与税はかかりません（暦年贈与）。この非課税枠を利用して、長期間にわたり計画的に贈与を行うことで、相続税を大幅に節税することも可能です。 ただし、贈与税と相続税には、それぞれ税率や控除額の違いがあるため、専門家への相談も検討し、総合的に判断することが大切です。

相続トラブルの回避になる

相続は、遺産分割協議で親族間の意見が対立し、トラブルに発展するケースも少なくありません。 生前贈与によって、財産の移転先を事前に明確にしておくことで、相続時の親族間の争いを未然に防ぐことができます。 誰にどの財産を渡すかを、生前に贈与者の意思で決定することで、相続後のトラブルを回避し、親族間の良好な関係を維持できるでしょう。

また、遺言書を作成しておけば、より確実に贈与者の意思を反映させることが可能になります。 遺言書と生前贈与を組み合わせることで、相続トラブルをさらに効果的に回避できるでしょう。

特定の相手に財産を渡せる

相続では、法定相続人（配偶者や子供など）が優先的に財産を受け継ぐことになりますが、生前贈与では、贈与者の意思で、誰にでも財産を贈与することができます。

例えば、「特に世話になっている長男に多く渡したい」、「孫の教育資金のために贈与したい」、「介護をしてくれている親族に渡したい」など、特定の理由や想いを持って、財産を渡したい相手を選ぶことができます。

この点は、生前贈与が相続と比較して、柔軟な財産承継を可能にする大きなメリットと言えるでしょう。

贈与者の意思を尊重できる

生前贈与は、贈与者が元気なうちに、自分の意思で財産の配分を決めることができるため、相続よりも、より贈与者の想いを反映させることができます。

生前贈与は、単なる財産の移転だけでなく、「誰に、何を、なぜ渡したいのか」という贈与者の想いを形にするための有効な手段であると言えるでしょう。 生前に財産を渡すことで、贈与者の想いを伝え、感謝の気持ちを伝える良い機会にもなります。

相続が早期に実現する

相続は、財産調査や遺産分割協議など、手続きが完了するまでに時間がかかる場合があります。 一方、生前贈与は、贈与契約が成立すれば、比較的短期間で財産を移転することができます。 生前贈与を活用することで、相続による財産の移転を待たずに、早期に財産を有効活用できるというメリットもあります。

例えば、事業承継のために、後継者に自社株を生前贈与する場合は、事業の継続をスムーズに進めることができるでしょう。 また、高齢の親が、子供に住宅資金を贈与することで、子供は早いうちにマイホームを手に入れることができます。

生前贈与のデメリット・注意点

生前贈与には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットやリスクも存在します。この章では、生前贈与を行う前に必ず知っておくべき、6つのデメリットと注意点について詳しく解説していきます。

これらの点を理解した上で、生前贈与を実行するかどうかを慎重に検討するようにしましょう。

贈与税が発生する

生前贈与の最大のデメリットの一つは、贈与税が発生する可能性があるという点です。 贈与税は、贈与された財産の金額に応じて課税される税金で、相続税に比べて税率が高い場合もあります。

例えば、年間110万円を超える贈与を行うと、贈与税がかかります。 ただし、配偶者控除や住宅取得資金の贈与の非課税特例など、一定の要件を満たせば非課税になる制度も存在します。 これらの制度を有効活用することで、贈与税の負担を軽減できる場合もありますが、制度の内容を正しく理解しておくことが大切です。

贈与の事実を証明する必要がある

生前贈与は、贈与者と受贈者の合意によって成立しますが、贈与の事実を証明するためには、適切な手続きが必要になります。 贈与契約書を作成したり、銀行振込で贈与を行ったりするなど、贈与の証拠を残しておくことが重要です。

口頭だけの贈与や、現金の直接手渡しでの贈与は、後々、税務署から「贈与」として認められない可能性もあります。 「贈与」を証明する明確な証拠がない場合、贈与とみなされず、相続税の対象となる場合があるので注意が必要です。

贈与者が後で困る可能性がある

生前贈与は、財産を贈与することで、贈与者の財産が減少します。 そのため、贈与者が将来的に、病気や介護が必要になった場合、贈与した財産によって経済的に困窮する可能性も考慮しておく必要があります。 将来の生活費や医療費を十分に確保した上で、贈与を行うようにしましょう。 特に、ご自身の老後の生活資金について、よく検討することが大切です。

相続税対策にならない場合もある

生前贈与は、必ずしも相続税対策になるとは限りません。 贈与税を支払うことで、結果として相続税よりも税負担が大きくなってしまう場合もあります。 また、贈与する財産の種類や金額、贈与者の年齢などによっては、相続税の節税効果が得られないこともあります。 生前贈与を行う際には、相続税の節税効果だけでなく、贈与税とのバランスを総合的に考慮する必要があるでしょう。

暦年贈与と相続時精算課税制度の違いがある

生前贈与には、年間110万円まで非課税となる「暦年贈与」と、2,500万円まで非課税で贈与できる「相続時精算課税制度」の2つの制度があります。

• 暦年贈与：毎年110万円までの贈与は非課税となる制度で、長期間にわたって継続して贈与することで、相続財産を減らすことができます。
• 相続時精算課税制度：贈与額が2,500万円までは非課税ですが、贈与者が亡くなった時に、贈与した財産を相続財産に加えて相続税を計算するという制度です。

どちらの制度を選ぶべきかは、贈与する金額や相続財産の状況によって異なるため、慎重に検討する必要があります。一度、相続時精算課税制度を選択してしまうと、暦年贈与に変更することはできません。

税務署から指摘を受ける可能性も

生前贈与は、税務署から「贈与」として認められるためには、実態を伴った贈与である必要があります。 例えば、次のような場合は名義だけ贈与しているとみなされ、税務署から贈与とは認められない可能性があります。

• 贈与契約書を作成せずに、現金を手渡しで贈与した場合
• 贈与したお金を、贈与者が自由に使っている場合
• 贈与した不動産の管理を、贈与者が続けている場合

このような場合、贈与とみなされず、相続税の対象となる場合もあるので注意が必要です。 税務署から指摘を受けないためにも、贈与の実態を明確にしておくことが重要です。

生前贈与の手続きと流れ（一般的なケース）

生前贈与は、贈与契約に基づいて財産を移転する行為ですが、実際にはどのような手続きが必要なのでしょうか。この章では、生前贈与の一般的な手続きの流れを、ステップごとにわかりやすく解説します。

スムーズに贈与を進めるために、全体の流れを把握しておきましょう。

生前贈与の基本的な流れ

1. 贈与の意思決定と計画
   • まずは、誰に、いつ、何を贈与するのか、具体的な計画を立てます。
   • 贈与する財産の評価額や、贈与税の税額を事前に確認しておきましょう。
   • 贈与の目的や、贈与後の財産の活用方法などを考慮し、計画を立てましょう。
2. 贈与契約書の作成
   • 贈与者と受贈者の間で、贈与の内容を記載した贈与契約書を作成します。
   • 贈与契約書には、贈与者と受贈者の氏名、贈与する財産の種類や金額、贈与日などを明記します。
   • 贈与契約書は、贈与の事実を証明する重要な書類となるため、必ず作成しておきましょう。
   • 契約書の作成は、弁護士や税理士などの専門家に依頼することもできます。
3. 贈与の実行
   • 贈与契約書の内容に従って、財産を贈与します。
   • 現金を贈与する場合は、銀行振込などを利用し、記録を残しておきましょう。
   • 不動産を贈与する場合は、所有権移転登記の手続きが必要になります。
   • 株式や有価証券を贈与する場合は、証券会社での名義変更手続きが必要になります。
4. 贈与税の申告と納税
   • 贈与を受けた人は、贈与税の申告と納税を行う必要があります。
   • 贈与税の申告期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。
   • 贈与税の申告は、税理士に依頼することもできます。
   • 贈与税には、基礎控除や配偶者控除などの制度があり、これらを活用することで税額を軽減できる可能性があります。
5. 不動産贈与の場合は登記手続き
   • 不動産を贈与した場合は、法務局で所有権移転登記の手続きが必要です。
   • 登記手続きは、司法書士に依頼することもできます。
   • 登記手続きには、登録免許税や司法書士への報酬などの費用がかかります。

専門家へ相談する必要性はある？

生前贈与は、相続対策として有効な手段ですが、税制や法律が複雑に絡み合うため、専門家のサポートが必要となる場面も少なくありません。

この章では、生前贈与を行う際に、どのようなケースで専門家への相談が必要になるのか、また、どのような専門家を選べば良いのかについて解説していきます。

特に、当事務所（行政書士佐藤秀樹事務所）のように、他士業と提携している場合には、ワンストップでトータルサポートを提供できる強みがあります。専門家のサポートを上手に活用することで、より効果的な生前贈与を実現できるでしょう。

なぜ専門家への相談が必要なのか？

生前贈与は、個々の状況や財産の種類、金額によって、最適な方法や注意点が異なります。専門家は、税制や法律に関する専門知識を持っているため、以下のような点で、あなたの生前贈与をサポートすることができます。

• 税金の最適化： 贈与税や相続税に関する複雑な計算や、各種特例制度の適用など、税金に関するアドバイスを受けることができます。
• 法的なリスクの回避： 贈与契約書の作成、不動産の登記手続きなど、法的な手続きを正確に進めることができます。
• 相続トラブルの予防： 将来の相続トラブルを避けるためのアドバイスや、遺言書作成のサポートを受けることができます。
• 最適な贈与計画の立案： あなたの状況や目的に合わせた、最適な贈与計画を立てることができます。
• 手続きの代行： 煩雑な書類作成や手続きを代行してもらうことで、時間や手間を大幅に削減できます。

生前贈与の相談ができるのはどのような専門家？

生前贈与に関する相談ができる専門家には、主に以下のような人がいます。

行政書士佐藤秀樹事務所にご相談いただくメリット

行政書士佐藤秀樹事務所では、上記の専門家と連携し、お客様の状況に応じた最適なサポートを提供しております。

• ワンストップサービス： 提携している税理士、弁護士、司法書士と連携することで、お客様は複数の専門家を探す手間を省き、ワンストップでスムーズに手続きを進めることができます。
• 窓口としての役割： 当事務所が窓口となり、お客様の状況に合わせて適切な専門家をご紹介します。
• トータルサポート： お客様のニーズに応じて、贈与契約書の作成、税金に関する相談、不動産の登記手続き、相続トラブルの予防など、生前贈与に関するあらゆるサポートを提供いたします。
• 安心のサポート： お客様が安心して手続きを進められるように、丁寧な説明と親身な対応を心がけております。

相談を検討すべきケース

以下のようなケースでは、専門家への相談を検討することをおすすめします。

• 贈与する財産が高額な場合
• 不動産を贈与する場合
• 相続税の節税対策をしたい場合
• 相続トラブルを避けたい場合
• 遺言書の作成を検討している場合
• 贈与税や相続税の計算方法がわからない場合
• 初めて生前贈与を行う場合
• 家族構成が複雑な場合
• どの専門家に相談すれば良いかわからない場合

専門家への相談は、費用がかかるというデメリットもありますが、専門家の知識や経験を活用することで、より効果的な生前贈与を実現し、将来的なリスクを減らすことができます。

行政書士佐藤秀樹事務所では、初回無料相談を実施しております。生前贈与についてお悩みの方は、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

まとめ：生前贈与は計画的に！

この記事では、生前贈与の基本的な知識から、メリット・デメリット、手続きの流れ、具体的な活用事例、専門家への相談の必要性まで、幅広く解説してきました。

生前贈与は、相続対策として有効な手段であることは間違いありません。しかし、その効果を最大限に発揮するためには、事前の計画が非常に重要です。

生前贈与を検討する上で大切なこと

• 目的を明確にする： なぜ生前贈与をするのか、目的を明確にしましょう。相続税の節税、相続トラブルの回避、特定の人物への財産の移転など、目的によって最適な方法が変わってきます。
• 計画を立てる： 贈与する財産の種類や金額、贈与の時期などを計画的に進めましょう。税制上のメリットを最大限に活かすためには、長期的な視点で計画を立てることが大切です。
• 専門家を活用する： 税理士、弁護士、司法書士、行政書士などの専門家を活用し、税金や法律に関するアドバイスを受けましょう。行政書士佐藤秀樹事務所では、提携している専門家と連携し、お客様の状況に合わせた最適なサポートを提供します。
• 家族で話し合う： 生前贈与を行う場合は、家族間で十分に話し合い、理解を得ておくことが大切です。相続トラブルを避けるためにも、事前に家族で話し合い、認識を共有しておきましょう。
• 状況の変化に対応する： 法改正や家族構成の変化など、状況の変化に応じて、贈与計画を見直すことも検討しましょう。

生前贈与は、未来への贈り物

生前贈与は、単に財産を移転するだけでなく、あなたの想いを未来へ繋ぐ、未来への贈り物とも言えるでしょう。 計画的に生前贈与を行うことで、次のような未来を実現できる可能性があります。

• 大切な人に財産を渡す： 自分の意思で、大切な人に財産を渡すことができます。
• 家族の絆を深める： 生前贈与をきっかけに、家族の絆が深まることもあります。
• 相続トラブルを回避する： 事前に財産の移転先を明確にしておくことで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。
• 次世代を支援する： お孫さんの教育資金や、お子さんの住宅取得を支援することができます。
• 社会貢献をする： 寄付や慈善活動などに、生前贈与を活用することができます。

この記事を読んだ皆様が、生前贈与をより深く理解し、ご自身の状況に合わせて活用していただければ幸いです。 そして、当事務所（行政書士佐藤秀樹事務所）が、皆様の相続対策のお手伝いができることを願っております。

生前贈与についてお悩みの方は、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。