【札幌で帰化申請】行政書士が申請要件・費用・手続きの流れを解説!

帰化申請の提出書類は辞書の厚さとも言われ、集める書類の数が多く、審査では内容も厳しく見られます。日本国籍を取得したいけれど、手続きが複雑そうで不安に感じている方もいるでしょう。申請をスムーズに進めるには、事前の準備が肝心です。
本記事では、札幌での帰化申請の経験豊富な行政書士が、申請要件、手続きの流れ、費用を徹底解説します。ぜひ最後までお読みください。
帰化申請とは?永住権との違い
帰化申請は日本の国籍を取得する手続きです。外国籍のまま日本に住み続ける永住権とは異なり、将来の強制退去リスクがなく、参政権も得られる点が大きな特徴です。
日本国籍がある
帰化申請によって日本国籍を取得すると、法的に日本人としての地位が確立されます。在留資格の更新を気にする必要もなくなり、長期的に日本で安定した生活が可能です。
帰化後に生まれた子は出生と同時に日本国籍を取得するなど、家族の法的地位と生活基盤もより安定したものになります。銀行からの住宅ローンや融資審査、公的な手続き、就職活動などにおいて、手続きが格段にスムーズになるでしょう。
参政権がある
選挙権(選挙で投票する権利)や被選挙権(選挙に立候補する権利)が与えられます。外国籍の方には参政権がないため、永住権と帰化の大きな違いのひとつです。
日本の政治や地域の意思決定に直接関わる権利を得て、生活環境や制度の改善に影響を与えることが可能です。
北海道にお住まいの場合に参加できる選挙は、市区町村長や議員、知事や道議会議員、衆議院・参議院議員の選挙などがあります。
強制退去させられない
帰化申請で日本国籍を取得すると、強制退去のリスクがなくなります。
永住権の場合、在留条件違反や犯罪歴、重大な手続きミスがあると退去命令が下される可能性があります。在留資格の更新の不安や煩雑な手続きから解放されるのは帰化の大きなメリットです。
帰化が許可されるための要件
帰化申請するためには以下の6つの基本的な要件を満たしていることが必要です。各要件について詳しく解説します。
日本に住んでいる期間(居住要件)
原則として、引き続き5年以上日本に住所を有することが必要です。
日本に住んでいる期間の合計年数が5年を超えているかだけでなく、継続的して日本国内で暮らしていたかにも厳しくチェックされます。5年のうち、原則として引き続き3年以上は就労または事業経営の実績が必要です。
ただし、日本人と結婚している配偶者や日本人の子など、一部の対象者にはこの5年や3年の要件が緩和される特例が設けられています。特例の対象となるパターンについては後述します。
長期または頻繁な出国は、居住期間の計算がリセットされる要因となります。具体的には、一度の出国期間が3ヵ月(約90日)を超える長期の出国や、出国年間合計の出国日数が100日~150日を超える場合は要注意です。
また、観光ビザなどの短期滞在期間や不法滞在(オーバーステイ)期間は居住期間に含まれません。
居住要件に不安がある場合は、申請前に法務局や行政書士へ相談し、期間の算入が可能かどうかを正確に確認しましょう。
日本語や社会生活の能力(能力要件)
日本社会の一員として適応して生活していけるかを判断する基準です。日本語能力と社会生活への適応能力の二つの側面があり、提出書類と面接を通じて総合的に判断されます。
日本語能力は、日本の小学校から中学校までの9年間で習得するレベル(義務教育レベル)が必要です。面接では、申請理由などの自分の意見を論理的に説明する能力を見られます。
読み書きは、公的な書類や申請書を読み書きできる能力が求められます。ひらがな・カタカナに加え、義務教育で習う程度の漢字(約2,000字)が読めるレベルが必要です。
社会生活への適応能力は、犯罪歴がなく日本の法令を守って生活していること、税金や年金・健康保険料などを適切に納付していることにより判断されます。
面接では、地域社会の習慣やルールを理解しているかを確認される可能性があります。
安定した生活費を得られること(生計要件)
申請者本人や生計を共にする家族が、公的な援助に頼ることなく、日本で安定して生活できる収入と資産をもっていることが大切です。
単に預貯金が多いことだけではなく、毎月継続して生活を賄える安定した収入源があるかが重視されます。特に札幌法務局では、世帯全体の収支バランスを重視し、毎月の収入に対して支出や借金の返済額が無理なく支払えているかを詳細にチェックします。
ルールを守って真面目に暮らしていること(素行要件)
日本社会の一員として、法令を遵守して暮らしていることが求められます。過去の犯罪歴、交通違反歴、税金や年金・健康保険料の滞納歴がないかという点で厳しく審査されます。
一時不停止などの比較的軽微な交通違反であっても、頻繁に繰り返している場合は、社会規範を守る意識が低いと判断されて審査に影響する可能性があります。
税金、年金、健康保険料の納付も忘れてはいけません。滞納がある場合は必ず完納し、遅延した経緯や改善策について合理的な説明と反省を示すことが大切です。
母国の国籍をなくして日本国籍だけになる意思があること(国籍要件)
帰化が許可された場合、現行の母国の国籍を離脱する意思を明確に示す必要があります。申請時には、重国籍防止に関する宣誓書を提出し、帰化が許可されたあと速やかに母国の国籍離脱手続きをおこなう義務が生じます。
国籍離脱の手続きは、国によって手続きや必要書類が大きく異なります。手続きに時間がかかる場合は事情を法務局に説明し、理解を得ましょう。
日本の憲法や政府を壊そうとする思想がないこと(思想要件)
申請者が日本の民主的な政府形態や憲法を尊重し、日本国のルールを遵守して生活していく意思があるかどうかが確認されます。
暴力団等の反社会的活動への関与、日本の憲法や政府を暴力的に破壊しようとする主張や活動への関与・支持は、不許可の理由となります。
特例が適用されるケース(簡易帰化)
通常の帰化申請は5年以上の継続在住が必要ですが、一定の条件を満たす場合は「簡易帰化」という特例の対象です。ケースにより、居住期間の短縮や一部要件の緩和が認められます。簡易帰化が認められるのは、以下のような場合です。
日本人の配偶者
日本人と婚姻している配偶者は、婚姻から3年以上経過し、かつ引き続き1年以上日本に住所を有している場合は帰化申請の居住要件を満たすものとされます。
申請には、結婚歴や婚姻期間を証明する書類(戸籍謄本など)、住民票や在留カードが必要です。特に面接では、婚姻関係の実態や、日本での生活状況、生計の安定性について詳しく質問されます。
簡易帰化の申請でも、審査官に納得感を与える書類作成と面接対策が必要です。
日本と血縁的・身分的な関係が深い
日本人の家族である、または過去に日本国籍を持っていたなど、日本と特別な関係がある方は、通常の居住要件(引き続き5年以上)が大幅に緩和されます。主なケースは以下のとおりです。
| 居住要件 | 主な対象者 | 緩和される要件のポイント |
| なし | 元日本国籍者(日本の国籍を失った方) | 居住期間の要件は免除 |
| なし | 日本で生まれ、出生の時から引き続き3年以上日本に住所を有している者 | 居住期間の要件は免除(3年以上継続在住が確認できれば、居住期間は問われない) |
| なし | 特別永住者 | 就労経験(引き続き3年以上の就労)も免除 |
| 引き続き1年以上 | 日本人の養子 | 引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ養子縁組の日から1年以上経過していることが必要 |
| 引き続き3年以上 | 日本人の子(元々日本国籍でない方) | |
| 引き続き3年以上 | 元日本国籍者の子 | |
| 引き続き3年以上 | 日本で生まれた無国籍者で、出生の時から引き続き3年以上日本に住所を有している | 居住要件だけでなく、能力要件や生計要件も緩和・免除 |
主に居住要件が緩和される一方、一般の申請者と同じように厳しく確認される要件もあることに注意しましょう。
長期の在留歴がある
引き続き10年以上日本に住所を有し、かつ引き続き5年以上就労または事業経営をしている者は、能力要件(18歳以上で本国法上の能力を有すること)が免除されます。
長期にわたり日本に定住し、経済的に自立しているにもかかわらず、本国の成人年齢が高いなどの理由で不許可となる事態を防ぐための特例です。
札幌法務局での帰化申請|手続きの流れと許可までのロードマップ
札幌法務局での帰化申請は、事前相談から許可まで平均して1年〜1年半ほどかかります。事前相談の予約、書類収集、面接など、段階ごとに必要な準備が多いため、あらかじめ全体の流れを理解しておくことが重要です。スケジュールに余裕を持って進めることで、手続きの負担を減らし、申請をスムーズに進められます。
法務局へ事前相談
帰化申請を検討しはじめたら、まずは札幌法務局へ事前相談に行きましょう。事前相談は電話による完全予約制です。混み合う時期は希望日が取りづらいことがあるため、早めの予約がスムーズな申請の第一歩となります。
相談の際には、これまでの在留状況、収入、家族構成などを確認され、必要な書類や今後の準備事項の説明を受けます。その後の準備をスムーズに進めるために、情報は正確に伝えることが大切です。
必要書類の収集・作成
事前相談で指示された書類を収集・作成します。戸籍謄本、住民票、在留カード、納税証明書、勤務証明書、給与明細、銀行の残高証明など、幅広い分野の書類が必要です。
書類に不足や誤りがあると申請を受理してもらえません。指示された書類リストをもとにひとつずつ確実にそろえましょう。外国語の書類は、日本語の翻訳を添付する必要があります。
法務局への申請
必要書類がそろったら、法務局に提出します。書類の形式面で不備がなければ申請が受理され、正式に審査が開始されます。
審査中も、追加書類の提出や説明を求められることがあります。
面接と審査期間中の対応
法務局での面接では、日本語能力、生活状況、収入の安定性、家族関係、素行などが確認されます。質問内容は、日常生活の様子や仕事のことなど、普段の状況を中心に進むのが一般的です。
審査期間中に、転職・引っ越し・交通違反など、状況の変化があると追加の説明が必要になるため、注意が必要です。
許可後の手続き
帰化が許可されると、官報に氏名が掲載され、その日に日本国籍を取得します。戸籍の作成や、日本国パスポートの申請、運転免許証・銀行口座・職場への届け出などさまざまな手続きが必要です。
不許可の場合は理由が開示されないため、申請内容を再確認したうえで再申請の検討を進めます。
帰化申請にかかる費用
帰化申請に必要な費用は、公的な書類の取得や申請にかかる手数料と、専門家へ依頼する場合の報酬の2種類に分けられます。専門家へ依頼するケースも多いため、地域の報酬相場を理解してきましょう。
書類取得にかかる行政手数料
帰化申請そのものについて法務局へ支払う手数料は無料です。
ただし、申請に必要な公的書類の取得に実費がかかります。たとえば、戸籍謄本、住民票、納税証明書などは取得する際に数百円の手数料が必要です。郵送で取り寄せる場合は別途郵送費用もかかります。国籍や家族の状況によって、数千円から1万円前後が目安となります。
母国から取り寄せた書類の翻訳費用
母国語で作成された出生証明書、婚姻証明書、家族関係証明書などは、全て日本語への翻訳が必要です。
翻訳費用は、提出する書類の種類、枚数、そして言語によって相場が大きく変動します。1枚3,000円〜10,000円の程度としている専門家が多いです。
さらに、ビザ申請や帰化申請では、翻訳者が原本通りに翻訳したことを証明する翻訳証明(認証)を求められるケースが多く、この証明手数料が追加されることがあります。
手続きを行政書士に依頼する場合は、行政書士が翻訳まで対応するか、専門の翻訳者を紹介してもらえるのが一般的です。
正確な費用を知るために、翻訳証明の要否を含め、行政書士に一括で見積もりを依頼することをおすすめします。
行政書士に手続きを依頼する場合の報酬
札幌市を中心とした北海道エリアでは、帰化申請サポートの報酬は 15万円〜25万円程度が一般的です。
ただし、書類作成のみを依頼する場合、書類の収集や面接対策まで依頼する場合などで料金が大きく変動します。
依頼を検討する際には、何が基本報酬に含まれ、どこからがオプションになるのかを明確にしておくと安心です。
帰化申請を専門家に依頼すべき3つの理由
帰化申請は、書類の整合性や説明内容の一貫性が重視されるため、事前準備の質が結果を左右します。自分で手続きをおこなうのが不安な場合は、帰化申請が専門の行政書士に相談することをおすすめします。ここでは、専門家に依頼するメリットを3つの視点から整理します。
専門家のサポートで書類不備をなくせる
帰化申請の提出書類は膨大で、しかも全体としての整合性も求められます。わずかな矛盾や記載漏れでも補正が必要になり、結果的に審査期間の長期化につながる可能性があります。
特に初めて申請する方にとっては何が不備になるのかの判断が難しく、自分で全ての手続きをおこなうのは負担もリスクも大きいです。
専門家は申請者の状況を踏まえ、書類の過不足・記載内容・数字の整合性をチェックし、申請時点で完成度の高い書類を提出できます。補正リスクを減らすことは、申請全体をスムーズに進めるうえで重要です。
札幌法務局の審査傾向に対応できる
帰化申請の審査基準は全国共通であるものの、実際の運用や確認事項には地域ごとに特徴があります。
札幌法務局では、特に生計の安定性、日本語能力、提出書類の整合性へのチェックが丁寧で、申請者によって必要書類が追加されるケースも珍しくありません。
札幌法務局における帰化申請の経験が豊富な行政書士であれば、「どのような点がよく確認されるか」「どの状況で追加資料が求められやすいか」など、最新の傾向を把握しています。
つまずきやすいポイントを事前に補強し、よりスムーズに審査へ進める助けになるでしょう。
時間と労力の負担がなくなる
帰化申請は、書類集め・役所への照会・書類作成・修正・法務局とのやり取りなど、膨大な時間を必要とします。仕事や家庭と両立しながら進めるのは想像以上の負担です。
行政書士は単にアドバイスをするだけでなく、書類の収集・作成・提出など手続き全体をサポートします。あなたは書類の最終確認や面接への対応など、本当に必要な作業に集中でき、精神的な負担も軽くなるでしょう。
まとめ
帰化申請は、提出書類の正確性と、全体としての整合性が求められる複雑な手続きです。特に札幌法務局での審査では、生計の安定性、日本語能力、書類の説明内容に一貫性が重視される傾向があります。
手続きをスムーズに進めるためには、札幌法務局の最新傾向を熟知した専門家のサポートが欠かせません。
当事務所(行政書士佐藤秀樹事務所)では、帰化申請についてのご相談を受け付けています。ひとりで悩まず、まずはお気軽にお問い合わせください。
