【バレたらどうなる?】建設業許可なしでの営業は違法!リスクを解説

【バレたらどうなる?】建設業許可なしでの営業は違法!リスクと対策

建設業許可が必要な工事を、うっかり無許可で請け負ってしまった経験はありませんか?たった一度でも、無許可営業は明確な違法行為です。どうせバレないだろうと高をくくっていると、意外なところからバレて大きな代償を払うことになりかねません。

本記事では、建設業許可なしでの営業がバレる典型的なパターンや、無許可営業のリスク、許可取得のメリットまで詳しく解説します。リスクの高い業態から脱却したい方、許可を取るか迷っている方の判断材料として活用してください。

目次

そもそも建設業許可はどんなときに必要?

建設業許可は、全ての建設工事に必要なわけではありません。軽微な工事のみを請け負う場合は許可は不要です。しかし、基準を正しく理解しないまま営業していると、知らぬ間に無許可営業をしてしまうリスクがあります。まずは、建設業許可がどのような場合に必要となるのかを確認しましょう。

建設業許可が必要な工事とは?金額基準を正しく理解しよう

建設業許可が必要なのは、基本的には請負金額500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上、または延べ面積150㎡以上の木造住宅)の工事をおこなう場合です。請負金額には、材料費や諸経費も含まれるため、単なる工賃だけで判断するのは危険です。

実際には550万円の工事だけれど、契約書には499万円と書いておけば大丈夫と考える方もいますが、これは極めてリスクの高い行為です。万が一行政の調査が入れば、建設業許可なしで500万円以上の工事を請け負ったと判断され、法的な処分を受けるおそれがあります。

建設業許可なしで営業してもバレることはないと思っていても、工事金額の基準を超えた瞬間に法令違反が成立します。まずは自社が基準を超える工事を請け負っていないか再確認しましょう。

ちょっと手伝っただけでもアウト?グレーな事例に要注意

「自分は元請けじゃないから大丈夫」「ちょっと手伝っただけだから関係ない」という考え方が落とし穴となる場合があります。書類の上では工事の請負契約を結んでいなくても、実態として工事の責任者として動いている場合は要注意です。

たとえば、知り合いの工事現場に職人を手伝いで派遣した場合です。あなたが職人を管理したり、工事の進め方を指示したりした場合、あなたが工事を部分的に請け負ったとみなされる可能性があります。

請求書の名義は別の会社だけど、実際は自分が工事の手配を全部やったという場合も危険です。お金のやり取りをする会社が別でも、あなたが工事全体の段取りを組んだり、材料の調達から職人の手配まで取り仕切ったりしていると、実質的にあなたが請け負ったと判断される可能性があります。

請け負ったとみなされる工事が500万円以上の場合、無許可営業となってしまいます。ちょっと手伝っただけという軽い気持ちが大きなトラブルにつながることも少なくありません。知らず知らずのうちに法律に違反してしまわないよう、業務内容をよく確認することが大切です。

建設業法のルールについては、以下の記事でわかりやすく解説しています。

あわせて読みたい
【簡単解説】建設業法とは?対象や許可、契約などについてわかりやすく解説! 「建設業法にはどのようなルールがあるの?」「建設業法許可の対象は?」 このような疑問をもってこのページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。建設業法は、...

建設業許可なしがバレるときとは?発覚ケースを徹底解説

建設業許可がなくてもバレなければ大丈夫、と無許可営業を続けている方もいるかもしれません。しかし、無許可営業は思わぬところからバレます。ここでは、建設業許可なしでの営業が発覚する典型的な5つのパターンについて具体的に解説します。

元請けや発注者の通報

近年は建設業界でもコンプライアンスを重視する動きが強まり、元請け会社が下請け業者に建設業許可業者であることの証明を求めるケースが増えています。元請けが直接契約しない下請け(孫請け、ひ孫請け)であっても、元請けが最終的な責任を負うためです。公共工事でも、元請けだけでなく下請け業者まで許可の有無が厳しくチェックされます。

許可の有無を確認する書類の提出を拒んだり、あいまいな返答をしたりすると、元請け会社や発注者に「建設業許可をもっていないのでは?」と疑念を抱かれ、行政機関に通報されるリスクがあります。

税務調査や労基署の調査

税務署や労働基準監督署の調査を受ける場合、帳簿や契約書、取引実態などを厳しくチェックされます。請負金額が500万円を超える工事を請け負っている場合、調査の家庭で工事の内容や契約状況が詳しく調べられ、無許可営業が明るみに出るケースもあります。実はよくある発覚パターンのひとつです。

税務署は売上・仕入れの適正性を確認する中で、請負金額が500万円(建築一式工事は1,500万円または延べ面積150平方メートル以上)を超える契約書を見つけたら、建設業許可の有無を当然確認します。特に消費税の還付申告を行っている事業者は厳しく調査され、工事の契約内容、金額、請負先の情報まで細かく見られるため、無許可営業が発覚しやすいです。

現場で労災事故が発生し、労働基準監督署の調査が入った場合も、安全管理体制だけでなく、請け負っている工事の法的根拠である建設業許可についても確認が行われます。重篤な事故の場合は、警察の捜査が入ることもあり、その過程で無許可営業が判明することもあります。

近隣住民からの苦情通報

工事現場における騒音、振動、粉じん、資材の放置、作業員の駐車マナーなどが原因で、近隣住民から市区町村役場や警察に苦情が寄せられる場合があります。役場は、住民からの苦情を受け付けた際、まずその内容を確認し、事業者へ改善を促すのが一般的です。

しかし、この苦情対応のために事業者に関する情報を調べたり、必要に応じて現場を訪問したりする中で不審な点があると、建設業許可を管轄する部署へ情報が共有され、無許可営業が明るみに出る可能性があります。

ネット広告やホームページから足がつく

多くの会社が自社のサービスをSNSやホームページで宣伝しており、これが無許可営業発覚のきっかけとなることがあります。会社名や具体的な施工実績が明記されていると、顧客や同業他社だけでなく、建設業許可を管轄する行政庁の目にもとまりやすくなるからです。

行政庁の担当者は、日常的にインターネット上で情報収集を行っています。たとえば、「〇〇(地域名) 建設工事」「リフォーム 格安」といったキーワードで検索を行い、許可が必要な規模の工事を請け負っているにもかかわらず、建設業許可番号の記載がない、または許可業者としての情報が見当たらない会社をチェックします。

また、「〇〇邸リフォーム完成!」「〇〇マンション大規模修繕」など、具体的な工事名や金額を想起させるような実績が掲載されている場合、具体的な調査のきっかけとなることも珍しくありません。詳しい人が見れば写真や動画から工事規模が推測できる場合もあるため、知らず知らずのうちに自ら無許可営業の証拠を提供している状態と言えるでしょう。

同業他社からの通報

建設業許可をきちんと取得し、真面目に営業している事業者からすれば、無許可で低価格な受注をしている業者は不公平な競争相手と映ります。許可を取得するためには多大な労力やコストがかかるため、無許可で事業をおこなう業者に対してマイナスの感情を抱きやすいものです。特に、無許可業者が低価格で大規模な工事を受注している場合、不公平感が募ります。

同業他社から「あの業者は許可をもっていないのに大規模な工事を受注している」といった情報が、行政機関や業界団体に寄せられることもあります。行政機関や業界団体への通報は匿名で行われることが多く、通報元が特定されにくいため、密告のハードルが低いと言えるでしょう。

公共工事の入札情報を定期的にチェックしている同業者が、自社が落札できなかった工事を無許可業者が請け負っていることに気づき、通報するケースも実際にあります。

無許可営業を続けるリスク

今のところ問題なく営業できていても、許可が必要な工事を無許可で請け負うリスクは正しく理解しておきたいところです。法律違反により罰則を受けるだけでなく、将来にわたる信頼やビジネスチャンスを失ってしまう可能性があります。ここでは、無許可営業が具体的にどのようなデメリットをもたらすのか、3つの視点から詳しく解説します。

法的な罰則と行政処分を受ける

建設業許可をもたずに営業していた事実が発覚すると、事態は想像以上に深刻です。建設業法違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金という刑事罰の対象となるおそれがあります。実際に逮捕や書類送検に至った事例もあり、知らなかったといった言い訳は通用しません。

悪質と判断されれば、営業停止命令や改善命令といった行政処分が出されるケースもあります。一度行政からの指導が入ると、監視が強化され、定期的な報告や立ち入り検査が求められる可能性もあります。新たに許可を取ろうとしても、指導履歴があると許可取得が通常よりも難しくなり、事業拡大は無許可営業によって逆に遠のいてしまうと言えます。

これまでに一度でも無許可で500万円以上の工事を請け負った経験があるならば、過去の契約書や見積書、元請け会社の帳簿などから情報が判明し、調査対象となる可能性は十分にあります。もう終わった話と安心するのは危険です。

信用やビジネスチャンスを失う

建設業許可をもっていない場合、一定規模以上の工事や公共事業の受注はまず不可能です。元請け会社の多くは下請け業者にも許可取得を求めており、許可がなければ選考の土俵にすら立てません。下請けの無許可営業は、元請けや発注者も責任を問われる場合があるためです。

コンプライアンス体制の整備が重要視される昨今、許可が必要な工事を無許可で請け負うような会社との取引は論外です。もし無許可営業が発覚すると、取引先からの信用を失い、取引停止となる可能性が高いでしょう。小規模事業者や一人親方は同業者からの評判が命です。たった一度の過ちで長年築いてきた信頼が一気に崩れ、最悪の場合、廃業に追い込まれるリスクもあります。

税務上の不利益を受ける

建設業許可をもっていないことが、ただちに税務上の不利益につながるわけではありません。請負金額500万円未満など、建設業許可が不要な工事のみをおこなう業者は、許可がなくても合法的に営業できます。

税務上の問題が生じるのは、許可が必要な工事を無許可で請け負っている場合です。税務調査で建設業法に違反した業態が判明すると、コンプライアンス意識が低いとみなされ、より厳しく調査される可能性があります。計上した経費が否認されたり、過去の取引まで遡って精査されたりして、追徴課税のリスクが高まります。

許可を取得するメリットは安心と事業拡大

許可がないからと仕事を断った経験がある方もいることでしょう。建設業許可の取得は、事業の安定と成長を見据えた「投資」とも言えます。許可をもっていること自体が信頼の証となり、ビジネスチャンスが広がります。ここでは、建設業許可の取得によって得られる代表的なメリットを解説します。

500万円超の案件を正々堂々と受注できる

建設業許可を取得すれば、法律に基づいて500万円以上の工事を安心して受注できるようになります。これまで断っていた規模の大きな案件にも堂々と手を挙げられ、売上アップの可能性が広がります。

今は小規模工事だけでも、そのうち規模を拡大したいと考えているのであれば、許可取得は避けて通れません。特にリフォームやリノベーション分野では、1件の単価が高くなりがちで、知らず知らずのうちに許可が不要な工事の枠を超えてしまうリスクが高いです。許可取得に向けて早めに準備を進めることをおすすめします。

公共工事の入札参加資格を得られる

建設業許可を取得することで、国や地方自治体が発注する公共工事の入札への参加資格を得られます。公共事業は安定した発注が見込まれ、継続的な受注につながる魅力的な市場です。

また、公共工事への参加経験は、民間の発注者にとっても信頼できる事業者の証となり、その後の営業活動においても強力なアピール材料となります。チャンスが巡ってきたときに手を挙げられるよう、許可を取得しておくのもひとつの選択肢です。

金融機関・取引先からの信頼向上

建設業許可をもっていること自体が一定の技術とコンプライアンス体制の証明となるため、取引先や金融機関からの信頼が向上します。金融機関からの融資やリース契約を検討している場合、許可の有無は重要な審査項目です。

また、元請け会社が下請け業者を選定する際にも、許可証の提示を求められることは珍しくなくなっています。許可があるだけで「きちんとした会社」という印象をもたれやすくなり、受注機会にもつながります。

建設業許可の要件や申請手順については、以下の記事で詳しく解説しています。

あわせて読みたい
建設業許可をとるには?6つの要件と申請手順をプロが徹底解説! 「500万円以上の工事は建設業許可が必要と聞いたけれど、何から始めればいいかわからない……」とお悩みではありませんか?最近では、元請け業者が下請け業者に許可取得を...

まとめ

建設業許可なしで許可が必要な工事を請け負うことは、重大なリスクを伴う違法行為です。刑事罰や営業停止など厳しい処分が下されるだけでなく、取引先からの信用を失い、事業継続が困難になる可能性もあります。

一方で、建設業許可を取得すれば、500万円以上の案件も安心して受注できます。公共工事の入札にも参加可能となり、取引先や金融機関からの信頼も格段に向上します。将来的な事業の成長のためを思えば、コストをかけてでもきちんと許可を取得するのが得策です。許可取得の要件や手続きがわからない場合は、建設業許可に詳しい行政書士に相談するのも有効です。

当事務所(行政書士佐藤秀樹事務所)では、建設業許可についてのご相談を受け付けています。申請を代わりにおこなうだけでなく、現在のお悩みを丁寧にヒアリングし、許可取得の進め方についてアドバイスが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

編集者

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次