建設業許可申請を行政書士に頼む際の比較ポイントは?費用や注意点も紹介

この記事にたどり着いた方の中には、初めて建設業許可の取得を検討している方もいれば、更新や業種追加など今後の手続きも視野に入れて、信頼できる行政書士を探している方もいるでしょう。
いずれの場合も、建設業許可の取得をスムーズに進めるには、行政書士選びが非常に重要です。
とはいえ、行政書士にも得意分野や対応スタイルの違いがあり、選び方を間違えると「想像以上に手間がかかってしまった」「費用が不明瞭でトラブルに…」といった事態に陥ることも。
そこで本記事では、建設業許可申請を行政書士に依頼する際の比較ポイントをはじめ、費用相場や注意すべき点、失敗しないためのコツまでを具体的に解説します。
「どのような行政書士に頼むのが正解か?」を整理するための参考として、ぜひ最後までお読みください。
【建設業許可申請対応】行政書士の比較ポイント
建設業許可申請に対応する行政書士の比較ポイントは以下のとおりです。
- 建設業許可の「専門性・実績」があるか?
- 対応範囲が「許可取得だけ」で終わっていないか?
- 資格要件・財務内容のアドバイスが的確か?
- 担当者のコミュニケーション能力はどうか?
- 料金体系が明確か?
- 評判はどうか?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
建設業許可の「専門性・実績」があるか?
建設業許可申請に対応する行政書士を選ぶ際、もっとも重視すべきなのが「専門性」と「実績」です。
建設業許可は要件が複雑で、業種ごとの区分や証明資料の整備など、高度な知識と経験が必要です。
そのため、建設業界に精通し、過去に多数の許可取得実績をもつ行政書士であれば、書類作成から申請までを的確かつスピーディーに進めてくれるでしょう。
また、制度改正にも柔軟に対応できる専門性があれば、将来的な更新や変更手続きの際にも心強いパートナーになるでしょう。
対応範囲が「許可取得だけ」で終わっていないか?
行政書士を選ぶ際には、「許可取得だけ」で業務が終わってしまわないかを確認しましょう。
なぜなら、建設業許可は取得して終わりではなく、そのあとも5年ごとの更新申請や事業内容・役員構成の変更に伴う各種届出が必要になり、これらを怠ると、最悪の場合、許可の取消しにつながるリスクもあるからです。
更新スケジュールの管理や法改正への対応アドバイスなど、継続的にサポートしてくれる体制が整っていれば、経営者は本業に集中できます。運用フェーズまで一貫してサポートできる行政書士を選ぶようにしましょう。
資格要件・財務内容のアドバイスが的確か?
建設業許可の取得には、経営業務の管理責任者や専任技術者といった人員要件、さらには一定の財産的基礎や資金調達能力といった財務要件を満たす必要があります。
これらの条件をクリアするためには、行政書士による的確なアドバイスが不可欠です。
特に、人員配置の見直しや決算書の内容精査、自己資本比率の改善提案など、申請を通すための戦略的サポートができるかどうかは、信頼できる行政書士かどうかの大きな判断材料と言えるでしょう。
制度に対する理解が浅いと、書類の不備や要件不足で不許可になるリスクもあるため、事前に実務経験が豊富で、申請会社の現状に即したアドバイスができる行政書士かどうかをよく確認しましょう。
担当者のコミュニケーション能力はどうか?
建設業許可申請は専門性が高く、手続きも煩雑なため、行政書士との円滑なコミュニケーションが非常に重要です。
特に初めて申請する場合、専門用語や必要書類の意味がわからず戸惑うことも少なくありません。そんなとき、担当者が丁寧に説明し、依頼者の状況を正確にヒアリングしてくれるかどうかで、申請のスムーズさが大きく変わります。
また、迅速なレスポンスや進捗報告、相談への柔軟な対応など、ビジネスパートナーとしての基本的な対応力も見逃せません。
コミュニケーション力の高い行政書士であれば、疑問や不安をその場で解消しながら、安心して手続きを任せられるでしょう。
料金体系が明確か?
行政書士に建設業許可申請を依頼する際は、料金体系が明確かどうかを必ず確認しましょう。
申請手続きには、書類作成費用だけでなく、証明書の取得代行や交通費、場合によっては追加対応費などが発生するケースもあります。
料金の内訳が不明確なまま依頼すると、あとから「想定外の追加費用」が発生し、トラブルにつながる恐れがあります。
そのため、見積もり段階で報酬額だけでなく、業務範囲や含まれる費用項目を詳細に確認しましょう。
評判はどうか?
行政書士を選ぶ際に見落とせないのが、「評判」のチェックです。
いくら専門性や実績が豊富でも、対応が不誠実だったり、コミュニケーションに難があれば、スムーズに手続きをおこなうのは難しいでしょう。
そこで参考になるのが、過去の依頼者による口コミや評価、紹介実績などです。
公式サイトに掲載されたお客さまの声や、Googleマップレビュー、比較サイトのコメントなどを確認すれば、実際の対応力や信頼度を客観的に把握できます。
また、建設業関係者からの紹介や業界内での評判も大きな判断材料と言えます。第三者の意見を取り入れることで、自社に合った行政書士かどうかを見極めやすくなり、後悔なく依頼できるでしょう。
建設業許可申請を行政書士に依頼する際の費用
ここでは建設業許可申請を行政書士に依頼する際の費用相場を詳しく見ていきましょう。
一般建設業の新規申請に関する費用
一般建設業の新規許可申請では、行政書士への依頼費用はおおよそ10万円〜20万円が相場です。
この費用には、申請書類の作成、要件の確認、必要書類の取得代行、役所との折衝などが含まれます。
ただし、申請先が都道府県か国か、事業規模、申請内容の複雑さによって費用が前後する場合があります。
たとえば、経営業務管理責任者や専任技術者の要件確認に時間がかかる場合や、証明資料の収集・整理が困難なケースでは、追加費用が発生する場合もあります。
依頼前には見積もりを取り、どこまでの業務が含まれているかを確認するのが大切です。
なお、これとは別に「許可申請手数料」として、法定費用9万円(知事許可の場合)がかかる点も考慮しましょう。
特定建設業の新規申請にかかる費用
特定建設業の新規許可申請は、審査がより厳格なため、15万円〜35万円程度と高めの費用が相場です。
特定建設業は元請として下請に高額な工事を発注するため、より高度な経営管理体制や財務基準が必要です。
財務諸表の細かいチェックや、5000万円以上の自己資本証明、技術者要件の厳密な確認など、一般建設業に比べて行政書士の業務量が増えるため、報酬も高くなる傾向にあります。
さらに、法人税申告書や決算書の内容を税理士と連携して確認・補正する場面もあるため、外部専門家との連携費用が加算されることもあります。
許可申請手数料としては、こちらも法定費用9万円(知事許可の場合)が別途必要です。
建設業の業種追加申請にかかる費用
すでに許可を取得している会社が新たに業種を追加する場合、費用は6万円〜20万円ほどが一般的です。
追加する業種がひとつか複数かによって、必要書類や証明内容が変わり、行政書士にかかる作業量も増えるため、それに比例して料金もあがります。
また、業種ごとに求められる技術者の資格や経験の有無によっても、審査準備の難易度が変わるため、費用が上下します。
なお、業種追加には法定費用として5万円が法定費用として別途かかる点も覚えておきましょう。
建設業許可の更新申請にかかる費用
建設業許可の更新は5年ごとに必要で、行政書士に依頼する場合の費用は7万円〜15万円が相場です。
更新申請では、新たに要件を満たしていることを証明する必要があり、技術者の配置、役員の継続性、財務状況の確認など、一定の確認作業が求められます。新規申請に比べれば手続きのハードルは低いものの、書類の整合性や変更点の整理を怠ると不許可となる可能性もあります。
特に直前に役員変更や本店移転があった場合は、追加で登記書類が必要になるケースもあるため、事前の準備が欠かせません。
行政書士はこれらの内容を精査し、スムーズに更新手続きがおこなえるようサポートしてくれます。
書類チェック・事前相談だけを依頼する場合の費用
申請は自分で進めたいが、書類の確認や事前相談だけしたいなどの場合は、数千円〜数万円程度で対応してくれる行政書士もあります。
行政書士にフルサポートを依頼する前に、「自社が申請要件を満たしているか確認したい」「必要な書類だけ整えたい」といったニーズも少なくありません。
こうした場合、多くの行政書士は簡易相談や書類チェックのみのプランを用意しており、5,000円〜3万円程度で対応してくれることが一般的です。
特に、経営業務管理責任者や専任技術者の要件があいまいな場合や、許可取得の可能性を探りたい段階での利用におすすめです。
費用を抑えつつ、リスクの洗い出しや準備の方向性を確認できるため、まずは相談から始めてみるのもよいでしょう。
建設業許可申請を行政書士に頼むメリット
建設業許可申請を行政書士に頼むメリットは以下のとおりです。
- 複雑な制度と書類を確実に処理してくれる
- 面倒な書類作成・役所対応を丸投げできる
- 許可取得の「成功率」が大幅に上がる
- 許可取得後も継続的にサポートしてもらえる
詳しい内容を見ていきましょう。
複雑な制度と書類を確実に処理してくれる
建設業許可申請を行政書士に頼むメリットのひとつめが、複雑な制度と書類を確実に処理してくれることです。
建設業許可には多くの要件があり、業種ごとの区分や必要書類も細かく定められています。
特に経営業務の管理責任者や専任技術者の要件、財務内容の証明など、専門的な判断が求められる場面も少なくありません。
こうした制度の理解が浅いまま申請を進めると、書類の不備やミスが原因で申請が差し戻されることもありますが、行政書士に依頼すればこれらの要件を的確に整理し、ミスなく申請書類を整えてくれます。
その結果、申請プロセスがスムーズに進み、許可取得までの時間と手間を大幅に削減できるでしょう。
面倒な書類作成・役所対応を丸投げできる
建設業許可申請を行政書士に依頼する大きなメリットのふたつめが、面倒な書類作成や役所対応を丸ごと任せられる点です。
申請には多数の書類を準備する必要があり、それぞれに細かい記載ルールや添付書類の指定があります。さらに、役所とのやり取りも必要になり、平日の日中に何度も足を運ぶ手間がかかるのが実情です。
こうした煩雑な作業を全て代行してくれるのが、行政書士の大きな強みと言えるでしょう。
複雑な申請作業も必要最低限のヒアリングで済み、自社の業務に支障をきたすことなく申請を進められます。特に本業が忙しい会社や少人数体制の建設会社であれば、手間を省きつつ確実性を重視するなら、行政書士への依頼が最適でしょう。
許可取得の「成功率」が大幅に上がる
建設業許可申請を行政書士に依頼すれば、許可取得の「成功率」を大幅に高めることができます。
もし自分で許可申請をする場合、申請書類に不備があれば、役所から差し戻されたり、最悪の場合は不許可となるケースもあります。特に建設業許可は要件や必要書類が複雑で、些細な記載ミスや添付漏れでも審査に影響するため、正確性と経験が求められる分野です。
行政書士は制度を熟知しており、要件の充足状況を事前にしっかりチェックしたうえで、不備のない申請書類を整備してくれますし、審査側の視点を理解しているため、スムーズに通過するための書類作成が可能です。
結果として、無駄なやり直しを防ぎ、短期間での許可取得につながるため、確実に許可を取りたいなら、プロにお願いするのが賢明でしょう。
許可取得後も継続的にサポートしてもらえる
行政書士に建設業許可申請を依頼するメリットとして、許可取得後も継続的にサポートしてもらえることが挙げられます。
建設業許可は取得して終わりではなく、5年ごとの更新申請や、事業内容の変更、役員の異動、業種の追加など、定期的に手続きをおこなう必要があります。
こうした運用フェーズでも、信頼できる行政書士がいれば、各種届出や手続きの準備、スケジュール管理まで一括して任せることが可能です。
建設業許可申請を行政書士に頼む際の注意点
建設業許可申請を行政書士に頼む際の注意点は、以下のとおりです。
- 見積もりが曖昧な事務所は要注意
- 書類作成だけで丸投げ不可な事務所もある
- 安すぎる報酬設定には裏がある
- 許可取得までのスケジュール感を必ず確認する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
見積もりが曖昧な事務所は要注意
建設業許可申請を行政書士に依頼する際、見積もりの内容が曖昧な事務所には注意が必要です。
なぜなら初回提示額が安い行政書士事務所では、あとから「追加書類の作成費用」「証明書取得の実費」「役所対応費」などが上乗せされ、最終的に高額になるケースも少なくないからです。
信頼できる行政書士事務所は、事前に報酬の内訳を丁寧に説明し、必要となる可能性のある追加費用についても明示してくれます。
契約前に「どこまでが料金に含まれているか」をしっかり確認し、想定外のコストを防ぐことが、スムーズで安心な申請につながります。
書類作成だけで丸投げ不可な事務所もある
「行政書士に依頼すれば申請を全て任せられる」と思いがちですが、事務所によっては「必要資料は顧客が用意」「役所への提出は自社対応」といった業務分担が前提になっている場合もあります。
こうしたケースでは、思ったほど手間が減らず、かえって業務負担が増える可能性もあるでしょう。
そのため依頼前には、どこまでの作業を事務所が担ってくれるのか、具体的な対応範囲を確認するのが重要です。
「丸投げできる」とうたっていても、実際には条件付きの場合があるため、事前のヒアリングで業務分担を明確にしておきましょう。
安すぎる報酬設定には裏がある
極端に安い報酬設定の行政書士には注意が必要です。
なぜなら、極端に安い報酬設定の行政書士事務所では、経験の浅い新人事務所が実績作りのために料金を下げているケースや、表面上の費用だけ安く見せて、あとからオプション料金を加算するしくみになっているケースもあるからです。
費用だけで判断せず、これまでの許可取得実績や対応範囲、サポート体制などを総合的に比較するのが大切です。
適正な報酬で、安心して任せられる専門家を選ぶことで、結果的にもっともコストパフォーマンスの高い選択をできるでしょう。
許可取得までのスケジュール感を必ず確認する
建設業許可申請は、申請から許可が下りるまでに通常1〜2カ月程度かかります。
しかし、事務所によっては着手が遅かったり、書類のやり取りが滞ることでスケジュールが大幅にずれ込むこともあります。
工期や公共工事の入札に関わる場合、許可取得の遅れがビジネスチャンスの損失につながるリスクもあるでしょう。だからこそ、依頼時には「いつ申請を出し、いつごろ許可が下りる見込みか」を明確に確認しておくことが重要です。
建設業許可で行政書士が対応できる申請内容
建設業許可で行政書士が対応できる申請内容は、以下のとおりです。
- 新規許可申請
- 許可更新
- 業種追加
- 決算変更届
- 変更届(役員・商号など)
- 許可区分の変更
次から詳しく解説していきます。
新規許可申請
建設業許可で行政書士が対応できる申請内容として、新規許可申請が挙げられます。
新規許可申請は、これから建設業を始める事業者が最初におこなう重要な手続きです。
行政書士では、必要書類の収集や作成、要件の確認、役所への提出までを一括してサポートしてくれるため、申請者の負担を大きく軽減できます。特に、初めての申請では不備による再提出も少なくないため、行政書士の活用がおすすめです。
許可更新
建設業許可には有効期限があり、通常5年ごとに更新手続きが必要です。
行政書士が対応できる申請内容のひとつに、この「許可更新」があります。
更新申請は期限内におこなう必要があり、万が一遅れると許可が失効してしまう恐れもあります。
行政書士は、更新時期の管理から必要書類の準備、申請書の作成・提出までを一括でサポートしてくれるため、特に事業が忙しい中で期限管理を怠りがちな事業者にとって、心強い存在となるでしょう。
業種追加
建設業許可で行政書士が対応できる申請内容として「業種追加」があります。
これは、すでに建設業許可を取得している事業者が、新たに別の工事業種を手がけたい場合に必要な手続きです。
たとえば「とび・土工工事業」の許可をもつ会社が「管工事業」にも参入したいときには、業種追加の申請が必要です。
行政書士は、追加業種に必要な実績や要件を確認し、煩雑な書類の作成や申請手続きを代行してくれるため、スムーズな業務拡大が可能になるでしょう。
決算変更届
建設業許可で行政書士が対応できる申請内容のひとつに「決算変更届」があります。
決算変更届は年度終了後に、経営状況や財務内容を都道府県や国に報告するための手続きです。
建設業法により、許可業者は毎年この届出を義務付けられており、怠ると更新や業種追加などの手続きに支障をきたす恐れもあります。
行政書士は、決算報告書の内容をもとに正確な届出書類を作成し、提出までを一貫してサポートします。専門的な知識が必要とされるため、ミスを防ぐ意味でもプロへの依頼をおすすめします。
変更届(役員・商号など)
建設業許可を取得したあと、会社の役員変更や商号(社名)変更、本店移転などがあった場合には「変更届」の提出が必要です。
これは、建設業法に基づいて定められた義務で、期限内に適切な届け出を行わなければ、許可の維持や更新に支障をきたす可能性があります。
行政書士では、これらの変更内容を正確に把握し、必要書類の作成・提出を迅速におこなうことで、事業者の負担を軽減してくれます。
許可区分の変更
建設業許可で行政書士が対応できる申請内容のひとつに「許可区分の変更」があります。
建設業許可には「一般建設業」と「特定建設業」の2つの区分があり、元請として大規模な工事を請け負う場合には特定建設業への変更が必要です。
この区分変更では、より厳しい財務基準や技術者の要件をクリアしなければならず、審査も非常に厳格です。
行政書士は、現状の経営状況を踏まえて要件を満たしているかを判断し、必要書類の整備から申請手続きまでをトータルでサポートします。
建設業許可申請を行政書士に依頼する際の流れ
建設業許可申請を行政書士に依頼する際の流れは、以下のとおりです。
- 無料相談・問い合わせ
- ヒアリング・必要資料の確認
- 見積書の提示・正式契約
- 書類の収集・作成
- 申請書の提出(行政書士が代行)
- 審査期間(自治体側の処理)
- 許可通知書の交付
順を追って見ていきましょう。
① 無料相談・問い合わせ
建設業許可の申請を行政書士に依頼する際、まずは「無料相談・問い合わせ」からスタートします。
電話やメール、ホームページの問い合わせフォームを通じて、気軽に相談してみることで、許可が必要な業種なのか、今の状況で申請できるのかといった初歩的な疑問にも丁寧に対応してくれます。
② ヒアリング・必要資料の確認
無料相談後、依頼を前提とした「ヒアリング・必要資料の確認」へと進みます。
行政書士が事業内容や過去の経歴、会社の体制などを詳しくヒアリングしチェックします。
同時に、許可申請に必要な資料の案内や、現在の状況に応じた追加書類の説明も行われます。適切な情報提供がスムーズな書類作成につながるため、正確で具体的なやり取りが大切です。
③ 見積書の提示・正式契約
ヒアリング後、行政書士から「見積書の提示」が行われ、内容に納得すれば正式契約へと進みます。
見積書には、申請にかかる報酬額や実費、手続きの範囲が明記されているので、しっかりチェックしましょう。
契約書の締結をもって、行政書士が正式に申請業務を開始します。
④ 書類の収集・作成
正式契約後は、建設業許可に必要な「書類の収集・作成」がスタートします。
行政書士が中心となり、登記簿謄本や納税証明書、経営業務の管理責任者の証明資料など、法令で定められた書類をひとつひとつ丁寧に整えていきます。書類の一部は依頼者に用意してもらうこともありますが、フォーマットや記載内容についても行政書士が丁寧に指導してくれます。
⑤ 申請書の提出(行政書士が代行)
全ての書類が整ったら、いよいよ「申請書の提出」です。
依頼者がみずから役所に出向く必要はなく、行政書士が申請窓口まで手続きを代行してくれます。
申請先は、営業所の所在地を管轄する都道府県庁または地方整備局。提出時には、書類の不備がないかどうかのチェックもあるため、経験豊富な行政書士が対応すれば受理までの流れがスムーズになるでしょう。
⑥ 審査期間(自治体側の処理)
申請が受理されると、次は「審査期間」に入ります。
これは都道府県や国の担当部署が、提出書類をもとに審査をおこなうプロセスで、通常は1〜2か月程度かかります。
万が一、追加資料の提出や補足説明が必要な場合には、行政書士が窓口となって対応してくれます。
この期間中、依頼者側で特別な対応は基本的に不要なため、安心して結果を待つことができます。
⑦ 許可通知書の交付
審査が無事完了すると、「許可通知書」が交付され、正式に建設業を営むことができます。
通知書には許可番号や業種区分、有効期限などが明記されており、今後の更新や変更手続きの際にも必要となるため大切に保管しておきましょう。
建設業許可申請を行政書士に依頼する前に準備しておくべきこと
建設業許可申請を行政書士に依頼する前に準備しておくべきことは、以下のとおりです。
- 会社または事業主の基本情報を整理する
- 経営業務管理責任者(経管)の候補者と経歴
- 専任技術者の候補者と資格・実務経験
- 財務関係の確認(自己資本・決算)
- 過去の工事実績の資料
- 登記簿謄本・印鑑証明書などの基本書類
- どの業種で許可を取りたいかの確認
それぞれ詳しく解説していきます。
会社または事業主の基本情報を整理する
行政書士に依頼する前に、会社や事業主の基本情報を整理しておくことで、手続きをスムーズにおこなえます。
建設業許可の申請では、商号、所在地、設立年月日、資本金、事業目的、役員情報など、法人や個人事業主の基本情報が必要です。
これらが曖昧だったり、古い情報が混在していると、申請時に齟齬が生じて手戻りになる可能性があります。
法人の場合は定款や登記簿の内容と整合性が取れているか、代表者や役員の氏名や住所が最新かも確認しておくとよいでしょう。事前に正確な情報を把握し、行政書士に共有できれば、書類作成の精度が高まり、やり取りの回数も減らせます。
経営業務管理責任者(経管)の候補者と経歴
建設業許可の要件のひとつに、「経営業務の管理責任者がいること」があります。
経営業務管理責任者は、一定期間以上建設業において経営業務の経験を積んだ者でなければならず、その実績が証明できる資料が必要です。たとえば、取締役としての在任期間、職務内容、工事の関与状況などを明確にし、登記簿や契約書、確定申告書類などで裏付けられる必要があります。
行政書士は経歴書の作成や証明資料の収集をサポートしますが、事前に候補者を決め、その方の職歴を整理しておくことで作業がスムーズになるでしょう。
専任技術者の候補者と資格・実務経験
申請前に、誰を専任技術者にするのかと、その資格・経験の確認を済ませておくべきです。
建設業許可では、営業所ごとに「専任技術者」を置くことが義務付けられており、許可業種に応じた資格または実務経験が必要です。
資格を用いる場合は、国家資格(例:一級建築士、施工管理技士など)の証明書が必要です。
実務経験を証明する場合は、工事契約書や請求書、在籍証明書などが求められ、5年または10年の継続性も問われます。
候補者が現在常勤しているかどうかも重要なポイントであり、勤務形態や雇用契約書も確認しておく必要があります。
専任技術者が要件を満たさないと申請自体が受理されないため、早めに候補を決め、証明資料の所在も把握しておくことでスムーズに申請ができます。
財務関係の確認(自己資本・決算)
建設業許可の「財産的基礎」を確認するため、自己資本や直近の決算内容を事前に整理する必要があります。
一般建設業では、自己資本500万円以上など一定の財務基準があるため、直近の決算書(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書など)が必要です。
また債務超過になっていないか、流動比率が極端に悪くないかも審査のポイントです。
事前に財務状況を把握し、どの資料が使えるかを確認しておけば、申請準備がスピーディになるでしょう。
過去の工事実績の資料
建設業許可では、工事実績を証明する資料が求められるため、過去の契約書や請求書を整理しておきましょう。
代表的な書類としては、工事請負契約書、発注書、請求書、写真、納品書などが挙げられます。工事の内容、費用、期間、発注者の情報などが記載された資料であれば有効です。
これらの書類が揃っていない場合は、実績があっても証明できず、許可申請が通らないこともあります。
資料がバラバラな状態であっても、できるだけ早く集めておき、行政書士に内容を確認してもらうと安心です。
登記簿謄本・印鑑証明書などの基本書類
許可申請には登記簿謄本や印鑑証明書といった法的な基本書類が不可欠で、事前に取得・確認しておくことが重要です。
法人の場合、建設業許可申請にあたっては「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」と「法人の印鑑証明書」が必須です。
これらの書類は法務局で取得できますが、3か月以内のものが必要とされるため、古いものは使用できません。加えて、役員の住所・氏名の表記が他書類と一致していることも確認しましょう。
特に申請時に役員変更などが予定されている場合は、登記事項とのタイミングにも注意が必要です。
これらの書類が揃っていないと、行政書士による申請書類の作成にも着手できず、無駄なタイムロスにつながってしまいます。
どの業種で許可を取りたいかの確認
申請前に「どの工事業種で許可を取りたいのか」を明確にしておくことが、正確で無駄のない申請に直結します。
建設業許可は、業種ごとに許可が必要で、業種ごとに細分化されています。
たとえば「土木一式工事」「とび・土工工事」「内装仕上工事」などがあり、同じ建設会社でも扱う工種により必要な許可が異なります。
許可業種を正しく選定しないと、実際に受注したい工事をおこなえない、またはあとから業種追加が必要になるといったトラブルにつながる恐れがあります。
行政書士に依頼する際には、どの工事を主に行っているのか、将来的に取り扱いたい業種は何かといった方針を共有できるよう、事前に検討しておきましょう。
建設許可で行政書士だけでなく他士業との連携が必要なケース
ここでは建設許可で行政書士だけでなく他士業との連携が必要なケースを見ていきましょう。
財務内容に不安がある場合
財務内容に課題がある場合は、行政書士に加え税理士や会計士との連携が不可欠です。
建設業許可では「自己資本の額」「流動比率」「債務超過でないこと」など、厳格な財務基準が設けられており、これらは許可を取得するうえで非常に重要な審査項目です。
財務内容が基準に満たない、または判断が微妙な場合、単に書類を整えるだけでは不十分で、過年度の決算修正や資本金の増額、経費の見直しといった経理的な改善が必要となることもあります。
こうした対応には、税理士や会計士の専門知識と協力が不可欠です。行政書士が手続きの戦略を立て、税理士や会計士が会計処理を補完し、申請の通過可能性を高めることができるでしょう。
技術者の雇用証明・常勤性があいまいな場合
技術者の雇用状況が不明確な場合、社労士との連携がスムーズな申請に不可欠です。
建設業許可の審査では、技術者が自社に「常勤」していることを証明する必要がありますが、勤務形態が複雑だったり、書類上の整合性に不備があると、常勤性を疑われて申請が通らないことがあります。
特に他社と兼務している、就業時間が曖昧、雇用契約が未整備といったケースでは、雇用関係の明確化が必要です。
ここで重要なのが社会保険の加入状況や雇用保険の届け出、給与台帳の整備などで、これらは社労士の専門領域です。
行政書士が許可申請の枠組みを設計し、社労士が労務面を裏付けることで、審査に強い提出資料が整います。
特に審査が厳しくなる傾向にある自治体では、社労士との連携が許可取得の成否を左右する場合もあるため、早めの対応が肝心です。
法人設立や役員変更と並行して申請を進めたい場合
法人設立や役員変更と同時に許可申請を進める場合は、司法書士との連携が必須です。
建設業許可の申請では、法人の登記情報が審査対象になるので、商業登記を専門とする司法書士の協力が欠かせません。もし登記申請が遅れたり不備があると、許可申請書との整合性が取れずに審査がストップしてしまいます。
行政書士が許可申請の全体スケジュールを立て、司法書士が登記手続きをタイミングよく進めることで、無駄なく並行処理ができます。
公共工事や経審を見据えている場合
将来的に公共工事参入や経審を目指す会社は、行政書士に加えて税理士・社労士との連携が重要です。
経営事項審査(経審)は、公共工事への参加に必要な評価制度であり、「経営状況分析」「技術力」「社会性」など、多岐にわたる指標が審査されます。
行政書士は申請や審査書類の統括役を担い、他士業との橋渡しをおこなうことで、総合的な対応が可能です。
建設業許可申請を行政書士に頼むべき会社の特徴
建設業許可申請を行政書士に頼むべき会社の特徴は、以下のとおりです。
- 初めて建設業許可を取得する会社
- 書類作成や役所対応に不慣れ・時間が取れない会社
- 技術者や経営管理責任者の要件が微妙な会社
- 財務内容に不安がある会社
- 過去の工事実績や書類がバラバラな会社
- 更新・業種追加・経審など「今後の手続き」が視野にある会社
- 「一発で確実に通したい」会社
それぞれ詳しく解説していきます。
初めて建設業許可を取得する会社
初めて建設業許可を取得する会社は、行政書士に依頼するのがおすすめでしょう。
理由は、許可取得のハードルが想像以上に高いから。建設業許可の申請には、要件の正確な理解、数十種類に及ぶ書類の作成・収集、過去の実績や経歴の証明など、多岐にわたる手続きが必要です。
特に初めての場合、どの書類をどこから取得し、どう記載するのかがわからず、時間と労力ばかりかかってしまいます。
さらに、些細なミスで申請が差し戻されることも珍しくありません。行政書士に依頼すれば、要件の確認から書類作成、役所対応まで全て任せることができ、申請が通る確率も格段に上がります。
書類作成や役所対応に不慣れ・時間が取れない会社
書類作成や役所対応が負担に感じる会社は、申請に行政書士を利用するのがおすすめです。
建設業許可の取得には、法人の登記簿、決算書、契約書、経歴書など多くの書類が必要で、提出書類に不備があると修正・再提出が求められます。
業務の傍らでこれらの準備をこなすのは、時間的にも精神的にも大きな負担となるでしょう。特に小規模事業者では、経営者自身が対応せざるを得ないことも多く、本業の妨げになりがちです。
行政書士に依頼すれば、書類作成の専門知識を活かして迅速かつ正確に対応してくれるため、効率よく申請を進められます。また、役所との調整や追加資料の対応も任せられるため、手続き全体のストレスを大幅に軽減できるでしょう。
技術者や経営管理責任者の要件が微妙な会社
技術者や経営管理責任者の要件が微妙な会社は、行政書士に相談・依頼するべきです。
建設業許可では、「専任技術者」や「経営業務の管理責任者」など、特定の実務経験や資格をもつ人材が必要ですが、「過去にどの程度の業務をしていたか」「管理責任者としての経験が十分か」など、判断がわかれるケースも少なくありません。
行政書士はこれらの基準に精通しており、実務経験の整理や証明資料の整合性確認、証明方法の工夫などを通じて、審査に通る可能性を高めてくれます。
また、行政庁ごとの判断傾向にも詳しいため、事前に適切な対策が取れるのも強みです。自社だけでは判断がつかないケースこそ、行政書士の専門知識が非常に頼りになるでしょう。
財務内容に不安がある会社
財務面に不安がある会社は、早い段階で行政書士に相談するのが得策でしょう。
建設業許可には「財産的基礎」に関する基準があり、純資産や流動比率、債務超過の有無などがチェックされます。特に新設法人や業績が安定していない会社では、審査に通るかどうか不安を感じることもあるでしょう。
行政書士は、財務諸表を確認したうえで、補足資料の準備や経理処理のアドバイスなど、許可取得に向けた戦略的なサポートをするので、想定外の不許可リスクを回避できるでしょう。
過去の工事実績や書類がバラバラな会社
実績や資料の整理ができていない会社は、行政書士を利用するべきでしょう。
建設業許可の申請では、過去の工事経歴や契約書、請負実績などの資料提出が求められますが、書類がバラバラで管理が不十分な会社は少なくありません。
そうした状況でも、行政書士であれば、ヒアリングを通じて必要書類をリストアップし、不足資料の代替提案や補完説明の作成まで対応してくれます。経験に基づいた情報整理のノウハウにより、曖昧な実績でも審査通過が目指せるのは大きな強みです。
自力で整理に手間どるよりも、プロの視点で効率的にまとめてもらうことで、時間も労力も大幅に削減できるでしょう。
更新・業種追加・経審など「今後の手続き」が視野にある会社
許可取得後も継続的な手続きが必要な会社は、継続的にサポートしてくれる行政書士を利用するのがおすすめです。
建設業許可は一度取得して終わりではありません。5年ごとの更新、工種追加、経営事項審査(経審)、入札参加資格申請など、許可後も継続的に書類提出や審査対応が必要です。
行政書士と初回の許可申請から関係を築いておけば、会社の状況を継続的に把握してもらえるため、今後の手続きもスムーズに進めやすくなるでしょう。
都度ゼロから説明する必要がなく、変更点や注意点も事前にアドバイスが受けられるため、計画的な事業展開にもつながります。
「一発で確実に通したい」会社
一度で確実に許可を取りたいなら、行政書士への依頼が最短ルートと言えるでしょう。
建設業許可は、不備があれば簡単に差し戻され、再提出や追加書類により大幅な時間ロスが発生してしまいますが、行政書士は提出書類のチェックリストや審査基準に基づいて、的確に準備を進めてくれます。
「通るかどうか不安」で時間を浪費するよりも、「確実性」を重視したほうがビジネスチャンスを逃さずに済むでしょう。
建設業許可申請なら行政書士佐藤秀樹事務所におまかせ
私たち行政書士佐藤秀樹事務所は、スピーディかつ的確な対応を強みとしており、1日でも早い許可取得を目指す事業者さまを全力でサポートします。
新規申請はもちろん、都道府県知事許可・国土交通大臣許可のいずれにも対応可能。継続的な許可管理まで、建設業に特化したトータルサポートを提供しています。
また、当事務所では「他の行政書士から断られた」「要件が微妙と言われて不安」といったケースでも、許可取得につなげた実績が数多くあります。他士業(税理士・社労士・司法書士)との連携体制も整っているため、複雑な案件にも柔軟に対応可能です。
建設業許可でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
建設業許可を取得するには、複雑な要件や多数の書類作成が必要で、専門的な知識と経験が必要です。
そこで行政書士へ依頼すれば、申請の成功率が高まり、書類作成や役所対応も一任できます。
行政書士を選ぶ際は、建設業許可の実績、対応範囲、料金の明確さ、アドバイス力、評判、コミュニケーション力などを比較しましょう。また、許可後の更新・変更・業種追加にも対応できる行政書士を選ぶと安心です。
信頼できる行政書士を選ぶことで、許可取得からそのあとの手続きまでスムーズに進められます。