在留カードを紛失したらやるべきことは?緊急対応と再交付申請の手順

在留カードを紛失したらやるべきことは?緊急対応と再交付申請の手順

在留カードは、日本で生活する外国人の重要な身分証明書です。たしかに紛失してしまったら一大事。不携帯や申請遅延に対する罰則規定があるため、不安になる方もいるでしょう。

しかし、紛失時の対応も法律で決まっているため、すぐに適切な対応をすれば問題ありません。

本記事では、在留カードを紛失したときの緊急対応と、出入国在留管理庁への再交付申請手続き、手続きを怠った場合の罰則まで、わかりやすく解説します。安心して日本での生活を続けるために、ぜひ最後までお読みください。

目次

在留カードを紛失したときの正しい手続きと緊急対応

在留カードをなくした、盗まれた、あるいは火災などで滅失した場合も、基本的な手続きの流れは同様です。まず警察に届出をして、そのあと出入国在留管理庁へ再交付申請をおこないます。以下で手続きについて詳しく解説します。

1. 最寄りの警察署・交番への「遺失届」の提出

まずは最寄りの警察署または交番へ行き、遺失届または盗難届を提出します。

悪意のある第三者による在留カードの不正利用を未然に防ぐために重要な手続きです。また、日本では落とし物が警察に届けられることも多いため、もし誰かが拾ってくれたりして見つかった場合は警察から連絡がきます。 

届出をすると、警察から「遺失届出証明書」または「盗難届出証明書」が交付されます。これらの書類は、出入国在留管理庁に提出する「紛失の事実を証明する文書」として極めて重要です。

どうしても証明書をすぐに受け取れない場合は、受理番号を控えておきます。証明書や受理番号がないと再交付申請が受理されないため、警察への届出を最優先でおこないましょう。

2. 出入国在留管理庁での再交付申請と期限の注意点

警察への届出が完了し、証明書または受理番号を入手したら、お住まいの地域を管轄する出入国在留管理庁に在留カードの再交付を申請します。

カードをなくしたことに気づいた日から14日以内の申請が法律で義務付けられており、この期限を過ぎると法的な罰則の対象となるため注意が必要です。

やむを得ない理由で14日以内に申請ができない場合は、申請時に理由書を添えて提出する必要があります。「手続きを忘れていた」「忙しかった」という理由では認められません。手続きの遅延は次回の在留資格の更新などにも悪影響を及ぼす可能性があるため、迅速に対応しましょう。

もし期限内に手続きを完了させるのが難しいと感じたら、在留資格申請に詳しい行政書士に相談して書類作成や申請をサポートしてもらう方法もあります。

通常、申請が受理されたその日のうちに新しい在留カードが交付されますが、申請内容に疑義がある場合や、書類に不備がある場合は、審査に時間がかかることがあります。申請が完了すると、窓口で「在留カード再交付申請中」であることを示す書類が発行される場合があります。

紛失した在留カードが見つかったらどうする?

在留カードの再交付申請手続き中、あるいは申請後に紛失した在留カードが見つかることはあります。再交付申請の取り下げ(キャンセル)は、原則として新しい在留カードの交付前であれば可能です。

申請を取り下げる場合、速やかに申請先の出入国在留管理庁の窓口に行き、申請取下書を提出します。この際、見つかった古い在留カードと、身分証明書(パスポートなど)を持参してください。

新しい在留カードがすでに交付されてしまった場合は、その時点で古い在留カードは無効となり、再交付申請の取り消しはできません。

古い在留カードは再交付を受けた出入国在留管理庁の窓口に返納する義務があります。返納を怠ると、罰則の対象となる可能性がありますので、注意が必要です。

在留カードの再交付申請に必要な書類と手続きの流れ

在留カードの再交付申請手続きは、申請者本人または代理人(行政書士など)が必要書類を準備して、お住まいの地域を管轄する出入国在留管理庁の窓口に提出します。必要書類を把握し、迅速に準備を進めるのがスムーズな申請の鍵です。

再交付申請に必要な書類一覧と注意点

在留カードの再交付申請時に申請者が用意しなければならない書類は以下のとおりです。

書類名概要注意点
在留カード再交付申請書所定の様式(出入国在留管理庁のWebサイトからダウンロード可能)申請区分は「紛失・盗難・滅失による再交付」を選択
パスポート(旅券)申請時に提示有効期限内のものが必要
顔写真縦4cm、横3cm、3ヵ月以内に撮影、無帽、無背景のもの16歳未満の方は不要。申請書の所定の位置に貼り付ける
紛失した事実を証明する文書警察で発行された「遺失届出証明書」など受理番号の控えでも代用可能な場合があるが、証明書の原本が確実
その他、入管が必要と認める書類状況に応じて、追加書類が求められる場合あり出入国在留管理庁のWebサイトを参照、不明な場合は行政書士に相談

書類に不備があると申請が受理されず、14日以内の期限を守れなくなるリスクが高まります。特に顔写真は、規格が厳しく定められているため、注意が必要です。

再交付申請書の記入方法

申請書の冒頭にある「申請区分」の欄は「紛失・盗難・滅失による再交付」にチェックを入れます。次に、氏名、生年月日、国籍、住所などの基本情報を、パスポートや戸籍謄本(ある場合)と完全に一致するように正確に記入します。住所は、住民票に記載されているとおり省略せずに記入しましょう。

「紛失・盗難の状況」欄には、「紛失の事実を知った年月日」を正確に記入しなければなりません。この日付が再交付申請の期限(14日以内)を計算する起算日となるため、正確な日付を書きましょう。紛失場所や状況についても、「いつ」「どこで」「どのように」なくしたのか、盗まれたのかをできるだけ明確に記述します。

警察への届出に関する欄には、「届出先(警察署・交番名)」「届出年月日」「受理番号」を正確に記入します。添付する遺失届出証明書(またはその受理番号の控え)の内容をよく確認しましょう。

記入に不安がある場合や、紛失・盗難の状況が複雑で記述に迷う場合は、行政書士に相談すると正確かつ適切な申請書作成のサポートを受けられます。

在留カードの再交付は手数料無料

原則として「なくした」「盗まれた」「壊れた」場合の在留カードの再交付申請には手数料はかかりません。

ただし、再交付申請以外の目的で在留カードの交換を希望する場合(たとえば、単にカードの見た目を新しくしたいなど)や、在留資格の変更申請など、別の申請と同時に在留カードが更新される場合には、それぞれの手数料が別途かかる場合があります。

また、行政書士などの専門家に再交付申請の代理を依頼する場合は、手続きの実費とは別に行政書士に支払う報酬が発生します。報酬額は依頼する行政書士によって異なるため、依頼する前に何にいくらかかるのか確認しましょう。

在留カード紛失時に発生する罰則と注意点

再交付申請が完了したあとも、新しい在留カードが交付されるまでは、申請書類の控えや、入管から受け取った書類などを大切に保管し、求められた場合に提示できるように準備しておく必要があります。

在留カード不携帯・不提示の罰則

中長期在留者は、在留カードを常に携帯する義務があります。警察官や入国審査官などから提示を求められた際に在留カードを携帯していなかった場合、20万円以下の罰金に処せられることがあります。

新しい在留カードが交付されるまでの間は、パスポートや在留カード再交付申請書の控えなどを身分証明書の代用として携帯することをおすすめします。

また、提示を求められたにもかかわらず正当な理由なく提示を拒んだ場合は、1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金に処せられる可能性があります。警察など公的な権限を持つ職員からの要求には、冷静かつ誠実に対応しましょう。

在留カード再交付申請書の控えなどは在留カードそのものの代わりにはなりません。銀行口座の開設や携帯電話の契約など、在留カードの提示が厳格に求められる手続きには利用できない場合があるため注意が必要です。

再交付申請を怠った場合の罰則と対処法

正当な理由なく、在留カードの紛失を知った日から14日以内に再交付申請をおこなわなかった場合、入管法にもとづき1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金に処せられる可能性があります。「知らなかった」「忙しかった」といった理由は認められません。

万が一、病気や災害などやむを得ない理由で期限内に申請ができなかった場合は、診断書や罹災証明書などを添えて、申請が遅れたことに対する理由書を提出する必要があります。しかし、理由書を提出したとしても、必ずしも罰則が免除されるわけではありません。

期限を過ぎてからの申請は、行政書士などの専門家に相談のうえ、適切な理由書を作成し、入管へ誠実に状況を説明することを強くおすすめします。

罰則が将来の在留資格更新に与える影響

再交付申請義務の不履行や、在留カードの不携帯による罰則が科せられた場合、記録が残ります。

次回の在留期間の更新や、別の在留資格への変更を申請する際に、法律違反の履歴があることは審査で不利に働く可能性が高いです。在留期間が短縮されたり、最悪の場合は不許可となるリスクもゼロではありません。

在留カードの紛失に気づいたら、日本での安定した生活を守るためにも、14日以内の期限を厳守して再交付申請をおこなうことが重要です。

在留カード紛失時のイレギュラー対応

国外での紛失や悪用のリスク、外国人従業員を抱える企業としての対応など、通常の手続き以外にも知っておくべきイレギュラーな状況と対応策を紹介します。

国外で在留カードを紛失した場合の手続きと帰国時の対応

海外旅行中や一時帰国中に在留カードをなくしてしまった場合も、基本的には日本国内での紛失と同様に、紛失の事実を知った日から14日以内に再交付申請をおこなう義務があります。しかし、国外にいる場合の手続きは複雑です。

まず、滞在国の警察へ紛失または盗難の届出をおこない、受理証明書を取得します。そのあと、日本大使館・領事館へ身分証明書の代用や、帰国時の対応について相談します。

日本へ帰国する際には、紛失したままでは航空会社によっては搭乗を拒否される場合や、再入国許可の確認に時間がかかる場合があります。事前に日本の出入国在留管理庁へ相談しておくのが望ましいです。

帰国後、速やかにお住まいの地域を管轄する出入国在留管理庁に再交付申請をおこないます。この際、現地の警察が発行した受理証明書(日本語訳を添付)が必要です。

現地で再入国許可期限証明書を取得することもできますが、家族や雇用主を通じて日本国内で代理申請してもらう必要があり、時間的な制約があります。近く日本に帰国する予定がある場合は、まずは現地警察への届出をおこない、帰国後に再交付申請をするのが現実的でしょう。

盗難・紛失した在留カードが「悪用」されるリスクと対策

在留カードは、顔写真と個人情報が記載された公的な身分証明書です。万が一、悪意のある第三者の手に渡った場合、なりすましによる悪用のリスクがあります。

携帯電話の契約や金融機関での手続きに利用されたり、不法就労の身分証明書として使わたりするなどの悪用を防ぐためにも、発覚したら速やかに警察に届出をしましょう。

身に覚えのない郵便物などが届いた場合は、あなたの在留カードが悪用されているおそれがあります。不安に思っても記載されている連絡先に電話したり、お金を振り込んだりせずに警察に相談すると安心です。

外国人従業員の在留カード紛失に対する企業の対応

企業は、不法就労防止の観点から、外国人従業員の在留資格を適切に管理する義務があります。従業員が在留カードを紛失した場合、再交付手続きをサポートし、適切な在留状況を維持させることが、企業のコンプライアンス維持につながります。

従業員に対し、紛失の事実を知った日から14日以内に必ず警察への届出と出入国在留管理庁への再交付申請をおこなうよう伝えましょう。従業員自身が手続きをおこなうのが難しければ、行政書士への相談を促すなど確実に手続きをおこなうまでサポートすることが重要です。

再交付された新しい在留カードを受け取った後、速やかに企業側でその写しを取得し、在留資格、在留期間、就労制限の有無などを再確認しましょう。

まとめ

在留カードを紛失した際は、紛失に気づいてから14日以内に警察への届出と出入国在留管理庁への再交付申請をおこなうことが重要です。新しいカードが交付されるまでは、パスポートと申請書類の控えをセットで携帯しましょう。

期限を過ぎてしまったた場合や、手続きを怠った場合は罰則を受ける可能性があり、将来の在留資格更新や変更にも悪影響を及ぼします。申請書の作成方法や期限内の手続きに不安がある、あるいは海外での紛失といったイレギュラーなケースに直面している場合は、速やかに行政書士に相談することをおすすめします。

当事務所(行政書士佐藤秀樹事務所)では、在留資格申請のサポートをおこなっています。小さなことでも不安がある方はお気軽にご相談ください。

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