建設業許可の取得方法は?条件や不許可になるケースまで徹底解説!

これから独立して建設業許可の取得をしたい方もいれば、すでに会社を経営していて大きな工事や入札に参加するために建設業許可の取得が必要だと感じている方もいるかもしれません。
いずれの場合も、建設業許可の条件や申請方法を正しく理解しておくことは、無許可営業によるリスクを避け、安定した事業基盤を築くためにとても重要です。
ただし、建設業許可の取得方法は「新規」「更新」「業種追加」など状況によって大きく異なり、満たすべき条件や注意点も変わってきます。
本記事では、建設業許可の基本から取得の流れ、必要な条件、不許可になりやすいケースまでを整理し、どの立場の方にも役立つようにわかりやすく解説していきます。
「建設業許可の取得に自分の場合はどのような準備が必要なのか?」を確認する手がかりとして、ぜひ最後までお読みください。
建設許可の取得とは?
建設業許可とは、一定規模以上の工事を請け負うために必要な国や自治体からの認可です。
500万円以上の工事をおこなう場合には必須であり、無許可営業は法律違反となってしまいます。
許可を取得すれば、公共工事や大手企業との契約が可能になり、信用力の向上や事業拡大につながります。単なる形式的なものではなく、建設業者として安定的に成長するための大切な基盤となる制度です。
取得するメリット
建設許可を取得すれば、下記のように一定規模以上の工事を受注できるだけでなく、信用力や営業範囲も広がります。
受注可能な工事の幅が広がる 許可が必要な金額や規模の工事を受注できるようになり、事業の拡大につながる。 取引先や発注者からの信用向上 公共工事や大手企業との契約には許可が必須な場合が多く、信頼性を示せる。 営業エリアの拡大が可能 複数地域での許可取得により、県をまたいだ工事受注や新規顧客獲得がしやすくなる。 特定建設業なら大型プロジェクトにも対応 下請けに大規模工事を任せられるため、より高額・大規模な案件を受注可能。 長期的な事業安定化 許可があることで入札や契約のチャンスが増え、景気変動にも強い経営基盤を築ける。 |
このように、建築許可の取得は単なる書類上の手続きではなく、事業拡大や信用力向上のための大きなステップです。一般建設業から特定建設業まで、目的に応じて計画的に取得すれば、安定した成長を実現できます。
対象となる業種
建築許可の取得において、まずは「自社がどの業種に該当するか」を正しく理解しましょう。
建設業法では、工事の種類ごとに下記の29の業種が定められており、それぞれに必要な技術者や実務経験、許可要件が異なります。
業種名 | 内容概要 |
土木一式工事業 | 橋やダムなど、大規模な土木工事を全体的に請け負う業種。企画から指導まで幅広く対応。 |
建築一式工事業 | 住宅やビルなど、建築物の新築・増改築を総合的におこなう業種。 |
大工工事業 | 木造建築の骨組みや内部の造作など、木材加工を中心とした工事。 |
左官工事業 | モルタルや壁土の塗り付け、吹付けなど、壁や床の仕上げをおこなう工事。 |
とび・土工工事業 | 足場の組立、基礎掘削、鉄骨の建方など、多様な準備工事を含む。 |
石工事業 | 石材を使った積み上げや加工、外構などの工事。 |
屋根工事業 | 瓦、スレート、金属板などを用いた屋根の葺き替え・施工。 |
電気工事業 | 発電・送配電設備や建物内の電気配線・照明設置をおこなう工事。 |
管工事業 | 給排水や空調、ガス配管など、管を使った設備工事全般。 |
タイル・レンガ工事業 | タイル、レンガ、ブロックなどの積み付け・張り付け工事。 |
鋼構造物工事業 | 鉄骨や橋、鉄塔など、鋼材を加工・組み立てる工事。 |
鉄筋工事業 | 建築物や構造物の骨組みとなる鉄筋の加工・組立。 |
舗装工事業 | 道路や駐車場の舗装をアスファルトやコンクリートで施工。 |
浚渫(しゅんせつ)工事業 | 河川や港湾などの水底を掘削し、土砂を取り除く工事。 |
板金工事業 | 金属薄板の加工や取付けなど、板金加工を伴う工事。 |
ガラス工事業 | 建物や設備へのガラスの加工・取付けをおこなう工事。 |
塗装工事業 | 外壁や金属部材、木部などへの塗料塗布や防錆処理。 |
防水工事業 | 雨水や地下水の侵入を防ぐための防水加工工事。 |
内装仕上工事業 | クロスや床材の張替え、天井仕上げなど室内の仕上げ工事。 |
機械器具設置工事業 | プラントやエレベーターなどの機械設備を据え付ける工事。 |
熱絶縁工事業 | 配管や建物の断熱・保温をおこなう工事。 |
電気通信工事業 | 通信・放送・ネットワーク設備の設置など弱電系の工事。 |
造園工事業 | 公園や庭園の設計・施工、植栽や緑化工事。 |
さく井工事業 | 井戸や揚水設備の掘削・設置工事。 |
建具工事業 | 窓やドアなど建具の製作・取付け工事。 |
水道施設工事業 | 上下水道や浄化槽など水道関連施設の施工。 |
消防施設工事業 | スプリンクラー、防火扉など消防用設備の設置工事。 |
清掃施設工事業 | 廃棄物処理施設や焼却炉などの設置・改修工事。 |
解体工事業 | 建物や工作物を取り壊す工事。平成28年に新設された業種。 |
このように、業種ごとに施工できる工事内容が明確に決まっており、許可がない工事は受注できません。
複数地域での展開や大型案件への参入を目指す場合は、一般建設業・特定建設業の区分も考慮しながら、自社の強みや将来計画に合った業種許可を選択するのが重要です。
一般建設業と特定建設業の違い
建設業許可には「一般建設業」と「特定建設業」の2つの区分があります。
どちらも元請として工事を請け負いますが、下記のように下請けに発注できる金額や工事規模に大きな違いがあります。
【一般建設業と特定建設業の主な違い】 一般建設業 下請けに発注する工事が「1件あたり4,000万円未満」(建築一式工事は6,000万円未満) 中小規模の工事や直接施工中心の事業に向いている 必要な経営事項審査や資本金要件が比較的緩やか 特定建設業 下請けに発注する工事が「1件あたり4,000万円以上」(建築一式工事は6,000万円以上)可能 大型プロジェクトや公共工事の元請として有利 資本金2,000万円以上、自己資本4,000万円以上など厳しい財務要件 専任技術者も「1級資格」や高度な実務経験が必要 |
このように、一般建設業は比較的小規模~中規模工事を自社や一部下請けでおこなう場合に適し、特定建設業は大規模工事を多数の下請けに発注する場合に適しています。
複数地域での展開や公共事業参入を考えている企業は、事業計画や資金力に応じて、将来的に特定建設業取得も視野に入れるとよいでしょう。
大臣許可と知事許可の違い
建設業許可は、営業をおこなう地域の範囲によって「大臣許可」と「知事許可」にわかれます。
どちらも工事内容や業種ごとの許可要件は同じですが、下記のように営業所の設置場所や活動範囲によって取得すべき許可の種類が変わります。
【大臣許可と知事許可の主な違い】 知事許可 営業所がひとつの都道府県内にしかない場合に必要 同一都道府県内のみで営業可能 許可権者は都道府県知事 大臣許可 営業所が2つ以上の都道府県にある場合に必要 全国どこでも営業可能(営業所を置いた都道府県以外でも可) 許可権者は国土交通大臣 |
このように、営業エリアがひとつの都道府県内に限定される場合は知事許可で十分ですが、複数の都道府県に営業所をもつ場合や今後拡大予定がある場合は大臣許可が必要です。
特に、公共工事や大手ゼネコンとの取引を視野に入れて複数地域で活動する企業は、将来的な事業計画に合わせてどちらの許可を取得するかを慎重に選びましょう。
建設許可の取得に必要な条件
建設業許可を取得するには、経営経験や技術者配置、誠実な契約履行、健全な財務基盤、欠格要件に該当しないことなど、法律で定められた要件を満たす必要があります。
下記ではそれぞれ詳しい内容を見ていきましょう。
経営業務の管理能力がある
建設業の許可を受けるためには、申請者が建設業に関する経営業務の管理を適正におこなえる能力を有していることが必要です。
具体的には、法人の場合は役員の中に、個人事業の場合は本人または支配人の中に、下記のように建設業の経営に関して一定年数以上の経験を有する者がいなければなりません。
- 許可対象業種で5年以上、経営業務の管理責任者として従事した経験
- ほかの建設業種で7年以上、経営業務の管理責任者として従事した経験
- 経営業務管理責任者に準ずる地位で、取締役会決議に基づき執行役員等として5年以上総合管理した経験、または7年以上経営業務を補佐した経験
ここでいう「経営業務管理責任者」とは、取締役や執行役、支配人、営業所長など、対外的に責任を負い、資金調達・技術者配置・下請契約締結等を総合的に管理した人物のことです。
申請時は経験を裏付ける契約書や決算書など証憑の整備が不可欠であり、不備があれば許可が下りないため、事前準備が重要です。
営業所ごとに専任技術者を配置できる
許可を受ける建設業者は、各営業所に専任の技術者を配置する必要があります。
専任技術者とは、建設工事の請負契約の締結や履行に関する技術上の管理を担当する者であり、一定の学歴と実務経験、または豊富な実務経験や国土交通大臣による認定を持っているのが条件です。
たとえば、高校で所定の学科を修了後5年以上の実務経験、大学卒業後3年以上の経験、または10年以上の実務経験などが該当します。
なお特定建設業の場合は、さらに高度な資格や監督経験が求められます。この専任技術者は、ほかの業務と兼務せず、その営業所に常勤していることが必要です。
証明には、資格証・合格証、卒業証明、工事台帳・注文書・請負契約書、社会保険加入状況、就業規則や人事辞令、勤務表等を整え、欠員時の補充・代理体制や複数現場の専任要件への適合もあわせて示すとよいでしょう。
請負契約に誠実性がある
「請負契約の誠実性」とは、工事契約や履行において不正や不誠実な行為がなく、契約を適正に遂行できることを指します。
建設業許可では、過去に重大な契約違反、虚偽申請、談合、不正競争行為などがあった場合、許可が拒否または取り消されることがあります。
たとえ軽微なトラブルでも、発注者との紛争や債務不履行が多発している企業は審査時に不利になってしまいます。
公共工事や大規模案件では特に、契約の履行能力と信頼性が重視され、誠実性の欠如は取引停止や入札参加制限につながります。また複数地域で事業をおこなう場合は、全営業所での契約実績や工事履行状況を一元管理し、クレームや瑕疵対応の記録を残しておくと安心でしょう。
誠実性の要件は形式的な条件ではなく、日々の業務姿勢と社内体制の健全さがそのまま審査評価に反映されることを覚えておきましょう。
財産的基礎または信用の確保がある
建設業を安定して営むには、十分な財務基盤が必要です。
許可取得時には、一定の資産・資金力をもっていることが条件とされ、一般建設業では自己資本額500万円以上、またはこれと同等以上の資金調達能力が求められます。
特定建設業の場合はより厳格で、資本金2,000万円以上、自己資本額4,000万円以上、流動比率75%以上などの基準を満たす必要があります。
これらは直近の決算書や残高証明書で確認され、債務超過や赤字決算が続いている場合は許可が下りにくい傾向があります。
また信用の確保には、金融機関との取引実績や長期的な取引関係も含まれます。
今後、複数地域展開や大規模案件の受注を目指す場合は、早期に財務体質の改善を図り、許可更新や業種追加に備えることが重要です。財務的安定性は単に許可取得のためだけでなく、取引先からの信頼にも直結します。
欠格要件に当てはまらない
欠格要件とは、建設業許可を受けられない条件のことです。
破産手続き中で復権を得ていない者、重い刑罰の執行後一定期間内の者、暴力団員等、法令違反で処分歴のある者などは欠格要件に該当し、許可は受けられません。
法人では役員等や一定の使用人、個人では法定代理人・使用人の状況も審査対象で、会社の実質的支配者や相談役等に準ずる地位の者も含めてチェックされます。
過去の許可取消し・営業停止・営業禁止の期間中や直後も制限がかかるため、役員交代・ガバナンス改善・再発防止策の有無が重要です。
誓約書の提出だけでなく、登記事項証明、役員略歴・経歴証明、身分事項、暴排条項の導入、内部通報制度やコンプライアンス教育の体制でリスク管理を示しましょう。
【新規取得】建設業許可の取得方法
新規で建設業許可を取得する場合、下記の流れで申請をおこないましょう。
- 自社の状況を確認し、要件を満たしているか確認
- 許可区分(一般/特定、大臣/知事)を決定
- 必要書類を収集し、申請書を作成・提出
- 審査後、許可証の交付(有効期間5年)
順を追ってみていきましょう。
自社の状況を確認
建設業許可は、申請者が法律で定められた要件を満たしていなければ取得できません。最初のステップは、自社がその基準をクリアしているかをチェックしましょう。
▼確認ポイント ※詳細は建設許可の取得に必要な条件をご覧ください。 経営業務管理責任者がいる(許可業種で一定年数の経営経験) 専任技術者を営業所ごとに配置(資格または実務経験) 請負契約の誠実性(重大な契約違反歴がない) 財産的基礎(自己資本500万円以上、または残高証明など) 欠格要件に該当しない(暴力団関係、破産未免責、重大な法令違反など) |
さらに、建設業許可は下記のように29の業種に分類されており、どの業種で申請するかを決める必要があります。
※詳細は対象となる業種をご覧ください。
- 一式工事業(土木一式工事業、建築一式工事業)
- 専門工事業(大工工事業、電気工事業、管工事業、内装仕上工事業 など27業種)
※一式工事業をもっていても、500万円以上の専門工事を単独で請け負う場合は、その専門工事業の許可が必要です。
なお営業所は、実際に業務をおこなえる設備とスペースをもつ事務所である必要があります。条件不足が見つかった場合は、改善策を講じてから次の手順に進みましょう。
どの許可区分が必要かを決める
建設業許可には下記のように2つの視点で区分があります。
※詳細は、大臣許可と知事許可の違い、一般建設業と特定建設業の違いをご覧ください。
▼許可の種類 知事許可(営業所がひとつの都道府県内にある場合) 大臣許可(複数の都道府県に営業所がある場合) ▼許可の区分 一般建設業(500万円以上、建築一式は1,500万円以上の工事を請け負う場合) 特定建設業(下請1社あたり4,500万円以上、建築一式は7,000万円以上の大規模工事を元請としておこなう場合) |
特定建設業は財務・技術要件が厳格です。自社の事業計画と将来の工事規模を見据えて選びましょう。
必要書類を集める
許可要件を満たしていることが確認できたら、その事実を裏付けるための証明書類を揃えます。書類は申請者の属性(法人か個人か)、業種、許可区分によって一部異なります。取得先も複数にわかれるため、計画的に収集するのが重要です。
▼主な書類例 法人の場合 定款(法務局で取得可能) 登記簿謄本(登記事項証明書) 個人の場合 住民票(市区町村役場) 身分証明書(本籍地の市区町村役場) 経営業務管理責任者関連 経歴証明書(勤務先の証明、または自己申告に役所証明を添付) 専任技術者関連 国家資格証(1級・2級施工管理技士など)または実務経験証明書 財務関連 財務諸表(建設業法様式)、決算報告書 残高証明書(金融機関で発行) 営業所関連 賃貸借契約書または不動産登記事項証明書 営業所の写真(外観・内観・看板・机や電話設備など) 欠格要件の確認 「登記されていないことの証明書」(法務局) 身分証明書(本籍地役所) |
注意点として、各証明書には有効期限が設けられています。たとえば、残高証明書は発行から1か月以内、登記簿謄本や登記されていないことの証明書は発行から3か月以内でなければなりません。そのため、取得時期が早すぎると有効期限切れとなり、再度取り直す必要が生じます。
そのため証明書は、申請書の作成状況や提出スケジュールに合わせて、効率的に取得するのが大切です。また、営業所の写真は申請直前に撮影し、机や電話、事務用品などがそろい、業務が可能な状態であることを示すようにしましょう。
さらに、法人と個人では必要となる書類の一部が異なるため、申請する自治体が公開している「許可申請手引き」を必ず事前に確認しておきましょう。
申請書の作成と提出
申請書を作成する際は、まず申請先となる都道府県庁や地方整備局の公式サイトから、最新の申請様式や記載例を必ず入手します。建設業法の改正などにより様式が更新されることがあるため、古い書式を使うと受理されない場合があるので注意しましょう。
作成時は、添付する証明書や契約書と申請書の記載内容を完全に一致させることが重要です。特に会社名・代表者名・所在地・金額などは一字一句の誤りもなくそろえる必要があります。また、財務諸表は税務署に提出する決算書とは異なり、建設業法で定められた専用様式で作成します。
提出先は、営業所がひとつの都道府県内にある場合は都道府県庁(知事許可)、複数都道府県にまたがる場合は地方整備局(大臣許可)です。
申請手数料は知事許可で9万円、大臣許可で15万円が必要で、支払い方法は収入証紙や収入印紙が一般的ですが、一部自治体ではキャッシュレス決済にも対応しています。提出方法は窓口への直接持参が基本ですが、自治体によっては郵送やオンライン申請が可能な場合もあります。
なお書類提出前には、担当窓口で事前相談や事前審査を受けると、不備や不足書類を事前に確認でき、補正や再提出による時間のロスを防げます。
特に初めて申請する場合は、提出当日にその場で不受理となるリスクを減らすためにも、この事前チェックを活用するのが望ましいでしょう。
審査・許可証の受け取り
申請が受理されると、自治体による審査が始まります。
審査期間はおおむね1〜3か月が目安ですが、繁忙期や提出書類に不備があった場合はさらに長引くことがあります。審査の過程で記載ミスや不足書類が見つかると、自治体から補正依頼が届くため、迅速に対応しなければなりません。
許可証の交付方法は地域によって異なり、郵送で送られてくる場合もあれば、窓口での受け取りが必要な場合もあります。
許可の有効期間は5年間であり、期限の30日前までに更新申請を行わないと、許可が失効してしまいます。そのため、取得直後から有効期限を意識し、余裕をもって更新準備を進めることが重要です。
また、許可は取得したら終わりではなく、維持管理のための手続きが継続的に必要です。
毎年、税務申告とは別に決算変更届を提出する義務があり、5年ごとの更新申請も欠かせません。
さらに、建設業法に基づき、工事現場には専任技術者を配置し、契約内容を遵守した適正な業務運営をおこなうことが求められます。これらの義務を怠ると、次回更新が認められなかったり、最悪の場合は許可の取り消しにつながる恐れがあるため注意しましょう。
【更新】建築業許可の取得方法
建設業許可は5年ごとに更新が必要です。更新方法は下記のとおりです。
- 許可の有効期間は5年間
- 更新時も要件や証明書類が必要
- 期限を過ぎると新規扱いとなる
- 早めの準備と自治体への相談が有効
次から詳しい内容を見ていきましょう。
更新申請の準備を始める
更新申請は、期限直前に始めると書類の取得期限や補正対応に追われるリスクが高くなるため、まずは、有効期限を確認し、逆算してスケジュールを立てましょう。
特に、役員や経営業務管理責任者、専任技術者の資格や経験が更新時点でも要件を満たしているかを確認するのが大切です。もし人事異動や退職で要件を満たせない場合、代替要員の採用や配置が必要です。
また、直近の決算変更届が未提出だと更新申請を受理してもらえない場合があるため、未提出の書類がないかもチェックしましょう。
更新準備の初期段階で自治体の建設業課に相談すると、必要書類や申請様式の最新版を確認でき、手戻りを防げます。
必要書類をそろえる
更新時も、新規申請と同様に多くの証明書類が必要です。
▼必要書類例
- 登記簿謄本(法人)または住民票(個人)
- 経営業務管理責任者の経歴証明
- 専任技術者の資格証や実務経験証明
- 財務諸表、納税証明書、残高証明書
- 営業所の賃貸契約書や写真
- 登記されていないことの証明書や身分証明書
登記簿謄本・登記されていないことの証明書は発行から3か月以内、残高証明書は1か月以内が有効です。早すぎる取得は再発行の手間がかかるため、書類の取得順序と時期を計画的に決めましょう。
書類を記入・チェック
申請書は自治体(または地方整備局)の公式サイトから最新版を入手し、添付書類と完全に一致する内容で記載します。
特に会社名や住所、代表者名、資格情報、金額などは1文字の誤りもないようにしましょう。
財務諸表は税務署提出用とは異なり、建設業法で定められた様式で作成します。
記入後は複数人で確認し、押印漏れや記載漏れがないか細かくチェックします。不安な場合は、提出前に自治体の事前審査を受けるのがおすすめです。
提出・受付
書類が完成したら、知事許可は都道府県庁、大臣許可は地方整備局の窓口へ提出します。
費用は知事許可で約5〜9万円、大臣許可で約9〜15万円で、支払い方法は収入証紙や収入印紙が主流ですが、一部自治体ではキャッシュレス対応も進んでいます。
提出は窓口持参が基本ですが、郵送や電子申請が可能な自治体もあります。
受付時に不備が見つかると差し戻されるため、窓口での相談や事前予約制度があれば活用すると安心です。
更新完了・通知の受領
更新申請が受理されると審査が始まり、期間は通常1〜3か月程度です。
不備があれば補正依頼が届くため、迅速な対応が必要です。審査完了後、許可証の交付は郵送または窓口で行われます。
【業種追加】建築業許可の取得方法
新たに別の工事を受注するには、業種追加の許可が必要です。下記の流れで申請しましょう。
- 追加業種が29業種のどれに該当するかを確認
- 新規申請同様に要件審査を受ける必要あり
- 専任技術者の資格・経験が特に重要
- 書類準備・申請は新規申請と同じ流れ
次から詳しい内容を見ていきましょう。
追加したい業種を明確にする
まずは、追加したい業種が建設業許可の29業種のうちどれに該当するかを正確に判断します。
▼建設業許可の29業種
- 一式工事業(建築一式工事業、土木一式工事業)
- 専門工事業(大工工事業、電気工事業、内装仕上工事業、管工事業など27業種)
たとえば、建築一式工事の許可があっても、500万円以上の内装仕上工事を単独で受注するには内装仕上工事業の許可が必要です。逆に、複数の専門工事を一括して請け負う場合は一式工事業が必要ということを覚えておきましょう。
業種の判断を誤ると、せっかく追加許可を取っても活用できない可能性があるため不明な場合は、自治体の建設業課や専門家に確認すると安心です。
要件を再確認する
業種追加は、新規申請と同様に要件審査があります。すでに許可をもっていても、新たな業種についてはあらためて条件を満たしている必要があります。
▼確認すべき主な要件
- 経営業務管理責任者(追加する業種で必要な経営経験を有しているか)
- 専任技術者(該当業種の資格または実務経験をもつ者を配置できるか)
- 財産的基礎(一般建設業は自己資本500万円以上、特定建設業はさらに厳格な財務基準あり)
- 請負契約の誠実性(重大な契約違反歴がないか)
- 欠格要件(暴力団関係者や過去の重大な法令違反がないこと)
特に専任技術者は、追加業種ごとに資格や経験が必要なため、社内人員で足りるか、外部採用が必要かを早めに判断しましょう。
必要書類を準備する
要件を満たしていることを証明するため、追加業種に応じた下記の書類を揃えます。
- 定款、登記簿謄本(法人)または住民票(個人)
- 経営業務管理責任者の経歴証明
- 専任技術者の資格証または実務経験証明
- 財務諸表、残高証明書
- 営業所の写真や賃貸契約書
- 欠格要件確認書類(登記されていないことの証明書、身分証明書)
残高証明書は発行から1か月以内、登記簿謄本や登記されていないことの証明書は3か月以内が有効期限です。早すぎる取得は再発行の手間がかかります。
申請書類を提出する
申請書類を提出する際は、まず申請先となる都道府県庁(知事許可)または地方整備局(大臣許可)の公式サイトから、必ず最新版の申請様式を入手します。
様式は法改正や運用変更により更新されることがあるため、古い様式を使用すると受理されない場合があります。
提出先は、営業所がひとつの都道府県内にある場合は都道府県庁、複数の都道府県にまたがる場合は地方整備局です。
手数料は、知事許可が約5〜9万円、大臣許可が約9〜15万円で、支払い方法は収入証紙や収入印紙が一般的ですが、一部自治体ではキャッシュレス決済にも対応しています。
提出方法は窓口持参が基本ですが、自治体によっては郵送や電子申請が可能な場合もあります。特に初めて業種追加をおこなう場合は、提出当日に不受理となるリスクを避けるためにも、事前に担当窓口で相談し、書類内容をチェックしてもらうことを強くおすすめします。
審査~許可通知の受け取り
審査期間は通常1〜3か月で、要件や書類の正確性が厳しくチェックされます。
不備があれば補正依頼が届くため、速やかな対応が必要です。許可通知は郵送または窓口交付で届き、受領後から新業種で営業可能です。
【行政書士に依頼する場合】建設業許可の取得方法
建設業許可の申請は複雑で、必要書類も多く有効期限が短いため、自力での対応に不安を感じる事業者も少なくありません。行政書士に依頼すれば、要件確認から書類作成・提出までを一貫してサポートしてくれるため、申請の確実性が高まります。下記の流れで依頼しましょう。
- 建設業許可の専門知識をもつ行政書士を選ぶ
- 要件確認や書類収集、申請書作成を代行してもらえる
- 期限管理や補正対応も任せられる
- 急ぎの入札や工期に間に合うサポートが可能
次から詳しい内容を見ていきましょう。
建設業許可に強い行政書士を探す
まずは、建設業許可の申請経験が豊富な行政書士を探します。
行政書士を探す際は、下記のポイントに注目しましょう。
実績の確認 建設業許可の新規・更新・業種追加の取扱件数 対応範囲 要件確認から申請代行まで一貫対応か、一部のみか 地域対応力 自社の所在地域での申請実績があるか スピード感 工期や入札に間に合うよう対応できるか |
たとえば、急ぎの工事入札に参加するために許可が必要な場合は、「特急対応」に応じられる事務所が向いています。
インターネット検索だけでなく、同業者からの紹介や建設業協会の会員名簿も有効な情報源です。
相談・ヒアリング
行政書士との初回相談では、下記のように現在の会社の状況や取得希望の許可種別を詳しく伝えます。
- 取得したい許可の種類(一般建設業/特定建設業、知事許可/大臣許可)
- 経営業務管理責任者や専任技術者の有無、経験年数や資格
- 財務状況(自己資本や資本金、過去の決算内容)
- 申請期限(入札参加資格や契約開始日など)
この段階で、行政書士は要件を満たしているかを仮判断し、必要な改善点を提案してくれます。早い段階で課題を把握できれば、申請までの準備を効率化できます。
見積書の提示・契約
ヒアリング後、行政書士から下記のように業務内容や費用、スケジュールを明記した見積書が提示されます。
費用内訳 報酬額、法定手数料、交通費などの実費 業務範囲 要件確認、書類作成・収集、役所との調整、申請代行など スケジュール 準備期間、申請予定日、許可取得予定日 |
見積もりは必ず複数事務所から取り、金額だけでなく「何をどこまで対応してくれるのか」「修正対応や追加費用の有無」も比較するのが大切です。
契約後は業務委託契約書を交わし、責任範囲や納期を明確にしましょう。
必要書類の案内と収集
契約が成立すると、行政書士から下記のような必要書類リストが提示され、取得方法や取得先も案内されます。
- 登記簿謄本、定款(法人)または住民票(個人)
- 経歴証明書(経営業務管理責任者分)
- 資格証明書や実務経験証明(専任技術者分)
- 財務諸表、残高証明書
- 営業所の賃貸契約書や写真
- 欠格要件確認書類(登記されていないことの証明書、身分証明書)
証明書には有効期限があり、登記簿謄本や登記されていないことの証明書は3か月以内、残高証明書は1か月以内が有効期限です。
行政書士が代理取得できるものもありますが、金融機関発行の残高証明書などは依頼者自身が取得します。
申請書の作成と提出(全て代行)
必要書類が全て揃うと、行政書士が申請書の作成に取り掛かります。
作成時には、法改正などにより様式が変更されている場合があるため、必ず最新の申請様式を使用します。
また、添付書類と記載内容の整合性を厳密に確認し、会社名や住所、金額、資格情報などが完全に一致しているかをチェックします。
特に財務諸表については、税務署へ提出する決算書とは異なり、建設業法で定められた専用様式で作成する必要があります。申請書が完成したら、行政書士が役所へ提出します。
許可取得・許可通知書の受け取り
提出後は審査が行われ、通常1〜3か月で許可通知書が交付されます。
行政書士は許可証を受領後、依頼者に引き渡し、今後の更新スケジュールや決算変更届の提出方法なども案内してくれる場合があります。
許可取得後も、5年ごとの更新申請や毎年の決算変更届などの手続きが必要なため、継続して行政書士に依頼する会社も少なくありません。
建設業許可の取得で不許可になるケースとは?
建設業許可は、法律で定められた要件を満たし、適切な書類を提出すれば取得できますが、条件を欠いていたり、書類に不備がある場合は不許可になることがあります。
不許可になると、工期や入札の計画に大きな影響が出るだけでなく、再申請までの時間や費用の負担も増大します。
ここでは、不許可となる代表的なケースと注意点を解説します。
必要な要件を満たしていない
もっとも多いのが、法律で定められた許可要件を満たしていないケースです。
建設業許可には、経営業務管理責任者の配置、専任技術者の配置、財産的基礎の確保、欠格要件に該当しないことなど、複数の条件があります。
たとえば、経営業務管理責任者は申請する業種で一定年数の経営経験が必要で、専任技術者は該当資格または長年の実務経験が求められます。
財産的基礎についても、一般建設業では自己資本500万円以上、特定建設業ではさらに厳格な基準が課されています。
これらの条件がひとつでも不足していると、申請は受理されても審査で不許可になってしまいます。特に人員要件はすぐに整えられない場合があるため、事前確認が重要です。
虚偽の申請・書類の不備
申請書に虚偽の内容を記載した場合や、添付書類に不備がある場合も不許可の対象です。
虚偽申請は意図的でなくても、記載ミスや添付漏れがあれば結果は同じで、審査の段階で不許可となってしまいます。
たとえば、資格証明書や経歴証明の内容が実際の事実と異なる場合、あるいは日付や名称が異なっている場合などです。
さらに、添付書類の不足や、必要な押印の欠落も不備とされます。
これらを防ぐためには、提出前に書類を第三者にチェックしてもらうか、経験豊富な行政書士に依頼して内容を精査してもらうことが効果的です。
許可が失効していた・更新申請が遅れた
建設業許可の有効期限は5年間で、期限までに更新申請を行わなければ許可は失効します。
失効してしまうと、その時点で無許可状態となり、再取得する場合は新規申請扱いです。
新規申請は更新よりも審査が厳しく、時間も費用も余計にかかります。
また、更新申請は期限の30日前までにおこなうのが基本ですが、書類収集や要件確認に時間がかかり、申請期限を過ぎてしまうケースが少なくありません。
特に役員や技術者の異動が直前にあった場合は要件を満たさなくなることもあり、早めの準備が必要です。
過去に建設業法違反や法令違反がある
過去に建設業法やほかの法律に違反した経歴がある場合も、不許可になってしまうことがあります。
たとえば、無許可営業を行っていた、請負契約で重大な違反をした、工事で安全管理上の重大な過失があった、暴力団関係者と取引していた、などが該当します。
これらは欠格要件に該当し、違反から一定期間が経過しない限り許可を受けることはできません。
違反歴がある場合は、行政書士などに相談して、いつから申請可能になるのか、必要な改善策や証明方法を確認するのが重要です。
書類が古い・不整合がある・更新されていない
証明書類の有効期限切れや記載内容の不一致も、不許可の原因となってしまいます。
建設業許可申請では、多くの証明書に有効期限があります。
たとえば、登記簿謄本や「登記されていないことの証明書」は発行から3か月以内、残高証明書は1か月以内が有効です。
期限を過ぎた書類を提出すると、再取得が必要になり、結果として申請期限に間に合わなくなることもあります。また、添付書類同士で住所や名称が一致していない場合も審査で指摘されます。
会社移転や役員変更があった場合は、最新情報に更新した書類をそろえることが必須です。
まとめ
建設業許可は、一定規模以上の工事を受注するための必須条件であり、事業の信頼性や成長の鍵となる制度です。
取得には経営経験や技術者配置、健全な財務基盤など複数の条件をクリアし、正確な書類をそろえる必要があります。不許可や失効を防ぐためには、早めの準備と計画的な管理が重要です。
心配な方は専門家に相談しながら確実に許可を取得・維持するのがおすすめでしょう。